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ロシア車ブハンカ、愛され60年 構造シンプル、悪路に強く

5/23(土) 17:44配信

北海道新聞

 【ユジノサハリンスク細川伸哉】旧ソ連時代から60年以上、形状をほとんど変えず販売されているロシア製のバン型車「ブハンカ」がロシア国民に愛され続けている。悪路に強く、改造しやすいなど、野外活動の「道具」としての使い勝手の良さが売りだ。安全や快適の装備に乏しく、故障が多いのはご愛嬌(あいきょう)。自動車王国の日本にもファンがいる。

 「日本車では走れなかった悪路に行ける。外国人はロシアらしさを味わえると喜んでくれる」。東シベリアのバイカル湖に浮かぶオリホン島で、観光客向けのブハンカを運転するニコライ・ジェリュービンさん(55)は1月に日本製バンから乗り換えた。

 人口約1500人のオリホン島では約200台あるブハンカが主要な移動手段だ。ロシアの地方でもブハンカであれば交換部品がそろう。新車で80万ルーブル(115万円)程度という安さも、平均所得の低い地域で受け入れられやすい。

戦争想定し開発

 ブハンカはロシア語でパンを意味し、その形状から愛称が付けられた。ロシア西部ボルガ川沿いの「ウリヤノフスク自動車工場」で製造されている。もともとは核戦争の死傷者を大量輸送する目的でバン型が開発され、1958年に量産化が開始され、現在も毎年千台前後が販売されている。

 変速方式はマニュアルのみ。安全装備のエアバッグもない。「この車に近代的な装備を求める人はいない。例えばエアバッグはひどい悪路で誤作動の恐れがあり、むしろ不要だ」。サハリン州ユジノサハリンスク郊外の販売店で責任者を務めるアレクサンドル・チャさん(34)は言い切る。

 構造のシンプルさゆえに軽量で、狩猟や釣りでは、ぬかるみにタイヤをとられにくい。ショールームに並んでいた「冒険モデル」は改造でさらに車高が高められ、どこにでも行けそうな無骨さは、日本製の四輪駆動車にはない。

故障多いけど…

 ただ、変速レバーの取り付け部分がもろく運転中に折れてしまうなどトラブルは付きものという。ユーザーからは「ブハンカはジョークの精神なしに所有できない」とため息も漏れるが、チャさんは「ブハンカの弱点を熟知している。販売店で溶接をし直すなど、故障を減らす工夫をしながら売っている」と力説する。

 ブハンカは日本にも輸入され、名古屋市の販売店「オートリーゼン」は扱いを始めた2年前から北海道など全国から約40台の注文を受けた。マネジャーの中島聡さん(43)は「唯一無二のデザインが車好きに受け入れられている」と話す。

最終更新:5/23(土) 17:47
北海道新聞

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