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小説家デビューの元ベイビーレイズ・渡邊璃生、「何だ、コレ?」が一番の褒め言葉

5/23(土) 12:00配信

スポーツ報知

 2018年に解散したアイドルグループ「ベイビーレイズJAPAN」(ベビレ)の元メンバー・渡邊璃生(りお、20)が2日、初の小説集「愛の言い換え」(KADOKAWA、1650円)を発売した。表題作を含む7編は、いずれも触れれば壊れてしまいそうな、さまざまな愛の形を描いた物語。アイドル活動を経て“第2章”を歩み始めた渡邊が「作品に対する一番の褒め言葉は『何だ、コレ?』ですね」と話す理由とは…。(高柳 哲人)

 グループ最年少の「何をし出すか分からない、ちょっと不思議な愛されキャラ」の「りおトン」を知るファンはもちろん、アイドル時代を見たことのない人でも、紡ぎ出される独特の世界観に驚かされるだろう。「愛の言い換え」には、ある時には屈折し、ある時には痛みを伴いながらもひたすら愛を求め続ける、闇を抱えた登場人物たちを描いた7編が収録されている。

 「作品の内容やテーマが暗いというのは、自然とそういったものを選び取っているところはあります。王道のストーリーを書くよりも、ちょっと道から外れた内容の方が書きやすいというか、ありきたりにならない気がするんです」

 まだハタチになったばかりの元アイドル。「陰」とは、最も遠い場所にいる存在のような気もする。

 「ベビレ時代は、ある意味『陽』だったかもしれません。でも、いわゆる“王道アイドル”という存在ではなかったと私は感じていました。だから、アイドルをやっていることに矛盾は感じていませんでしたし、もともと文章を書くのは趣味のようなものだったので、スイッチを切り替えて活動をしていましたね」

 ベビレとして活動していた時期にもアルバム収録曲「アンチヒーロー」で共作ながら作詞に挑戦するなど、言葉に対する思い入れは強かった。それは幼い頃からのものだったという。

 「国語の授業では『枕草子』のパロディーを書いたこともあります。俳句や短歌を作るのも嫌いではなかったので、小説を書くようになったのもその延長のようなものでした」

 読書も好きだったが強い影響を受けたのが、昨年実写映画化もされた「うちの執事が言うことには」で知られる高里椎奈さん(43)の人気小説シリーズ「薬屋探偵妖綺談」だった。

 「妖怪の男の子たち3人が事件を解決する物語なのですが、結末が切ない。ちょっと後味が悪いというか、煮え切らない部分がある。そんなところが好きで、自分が書くものもラストがモヤッとした感じになっているのかもしれません」

 今回の出版で晴れて小説家デビュー。今後は、どのような活動を続けていこうと考えているのか。

 「『小説以外の仕事は断ります』という気持ちは全くありません(笑い)。ただ、創作ということに関して、いろいろと取り組みたい気持ちはある。皆さんがどう感じてくれたのか、感想もすごく楽しみなので、エゴサ(エゴサーチ、SNSなどで自分のことを話題にしている投稿を探すこと)はしようと思ってます」

 ちなみに、自分が書いた作品をどう受け取られるのか緊張や恐怖はないというが、「何だ、コレ?」という感想が書かれていたら、一番うれしいという。

 「読んだ人が『ウッ』と感じたり、モヤモヤ感を持ってもらえればうれしいですし、『何だ、コレ?』が一番の褒め言葉。私の性格的なものもあると思うんです。『理解されたくない』と言うとちょっとアレだし、うまく言えないのですが、人は人のことを全て理解できないものだと思うんです。だから、簡単に分かられたら嫌というか…。『渡邊璃生ってどんな人なんだ?』と思ってもらえるのが安心するので、小説に対しても同じなんだと思います」

 ◆渡邊 璃生(わたなべ・りお)2000年3月8日、神奈川県生まれ。20歳。ニックネームは「りおトン」。12年5月、5人組アイドルグループ「ベイビーレイズ」の最年少メンバーとしてデビュー。15年にグループ名を「ベイビーレイズJAPAN」に改称。18年9月に解散。同年、チャット小説アプリ「Balloon」において「工藤了」名義で「遥か隣りで」を発表。趣味はチョウとガの標本集め、読書、ゲームなど。身長163センチ。

 ◆編集担当「他の誰とも違うカメラで世界を撮っている」

 担当編集の金子亜規子さんは、渡邊との出会いについて「アイドルとしての『実人生』と関わりない純粋なフィクションを書こうとしていること、言葉の選球眼というか、センスにひかれた」と振り返った。その思いは、本人とやりとりをする中で、より強いものになっていったという。

 執筆の段階では、話し合いの中で修正を指摘することもあったが「強固な世界観を持っているにもかかわらず他人の話をきちんと取り入れ、さらにこちらの期待を裏切りながら超えてくる。プロのすごみを感じました」。独創性と普遍的なエンターテインメントのバランスにたけており「他の誰とも違うカメラで世界を撮っている書き手」と評価した。

報知新聞社

最終更新:5/23(土) 12:27
スポーツ報知

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