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ギャンブル依存症たちの声…なぜ人は人生をかけた勝負を挑むのか その心理を読み解く

5/23(土) 14:00配信

まいどなニュース

緊急事態宣言下、新型コロナウイルス感染拡大防止を目的とした各地の休業・自粛要請は、私たちの生活に様々な変化をもたらしました。そんな中、営業を続けて店名を公表されたパチンコ店に、開店前から並び続ける人々の姿が話題となりました。

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パチンコに限らず、ギャンブル、ゲーム、スポーツ観戦などの勝負事は日々の日常では味わえない高揚感をもたらします。しかし一方で、こうした高揚感にとらわれ、楽しむ域を越えて自分の力ではコントロールできない依存状態に陥るということも少なくありません。

普通の勝負では高揚感が味わえなくなり、気づけば時間とお金を大きく費やし、取り返しのつかない状況に陥っていることもあります。

人はなぜ人生をかけて勝負に挑むのでしょうか。ギャンブル依存の末に加害事件を起こし、その後カウンセリングを行った3名にギャンブル依存について尋ね、考察しました。

■緊急事態宣言下、インターネットを介した競馬に熱中していたというAさん

――自粛要請期間中にパチンコに行くことについて、どう思いますか?

「パチンコはやらないけど、県外にまで行きたいという気持ちは分かります。ほかに楽しみもないし、習慣が抜けないからじゃないですかね」

――もし競馬がインターネットでできなければどうしましたか?

「今は金額を決めているので依存するほどはしませんが、家でできなければ県外にでも行ったかもしれません。」

■パチンコ依存の末に、借金を重ね、家族や会社のお金に手をつけてしまったBさん

―― どうしてお金がないのに止められなかったのですか?

「何度も止めようと決意しましたが、店の前を通ると、馴染みのある音が聴こえてきて、当たった時の光や興奮を思い出すんです。当たると気持ちよくて、脳汁といっていましたが、ドーパミンっていうんですかね、やる気がみなぎってくるんです」

――依存を止めるために必要なことは何だと思いますか?

「憧れていた夢が叶わず、積み上げることが無意味に思えてしまって、当時は嫌なことを忘れるためにしていました。働かずに稼ぎたいとか、負けた分を取り戻そうとか。やっぱりちゃんと働いて認められることが大切だと思います。」

■パチンコ、たばこ、飲酒を長年続け、窃盗事件を起こした高齢のCさん

――パチンコはどういう気持ちで長年続けていましたか?

「不思議と負けた時の記憶は残っていません。負けていても最後に勝てば勝った気分になっていました。」

――今、パチンコもたばこも飲酒も止められているのはどうしてだと思いますか?

「家族が信じて支えてくれたからです。もう裏切ることはできません。」

これら3人の話をまとめると、「楽しみが他にない」「習慣化された日常から抜け出しにくい」「努力することへの失望が見られる」「音や光刺激といった環境因で高揚感を想起している」「勝つ喜びを得たいという気持ちに基づいている」などの特徴が挙げられます。

精神分析的観点では、依存による反復行動は、快楽を求めるという単純な発想ではなく、背景にある不安や不快感情に対処し、打ち勝つための闘争的な本能に基づいていると考えます。

そのため、ギャンブル依存を防ぐためには、その行為が楽しむことが目的なのか、現実に生じている葛藤や苦悩を緩和するための手段となっているのか、自らの感情について検討し、自尊心を高めながら、セルフケアを自分自身で行えるように調整していくことが大切となります。

一度定着してしまった行動や習慣は簡単には変えにくいのかもしれませんが、新型コロナウイルスとの闘いが、より緊張感を高めていることも考えられます。依存に陥らないためには、家族の支えや新しい生き方を考えることが大切といえそうです。

(公認心理師、臨床心理士・中村 大輔)

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最終更新:5/23(土) 14:09
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