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思わず見とれてしまう卒業制作…1本の赤い糸で赤いスイートピーの歌詞を刺繍した作品に「すごい!」

5/23(土) 15:30配信

まいどなニュース

あるグラフィックデザイナーがTwitterに美大時代の卒業制作で作った作品を投稿して絶賛されている。1本の赤い糸が歌詞の文字を繋いでいる「赤いスイートピー」を含め、「渚のバルコニー」「瞳はダイヤモンド」と題材は全て松田聖子の代表曲。3冊に共通しているのは作詞家と作曲家、それに歌っている歌手が同じ組み合わせであることだ。いずれも1980年代にヒットした曲だが“聖子ちゃん世代”でもない投稿者がなぜこだわったのか、本人に聞いた。

【写真】こちらは歌詞がカッターで切り抜かれた「渚のバルコニー」

清水彩香さん(Ayaka Shimizu@simmmmmmmy)がTwitterに「ブックカバーチャレンジの中にまぎれこませた卒業制作。美大時代、聖子ちゃん、松本隆さん、ユーミンのタッグが大好きで、選んだ3曲の歌詞を本にした」と投稿したのは今月12日。その画像を見てリツイートには「すごい!どれも手が込んでいますね。感動しました。実物を近くで見てみたいものです!」「3冊とも、とても素敵です。ウットリ」「これはきっと松本さんも、お~となったはず。いつか実物見てみたいです」と驚きの声が上がっていた。

2012年のその当時、制作に5カ月ほどかかったという清水さん。提出前の追い込みには「何日も部屋に閉じこもって作業しました」というほど時間を費やした。

――3冊はそれぞれどういう手法で制作したのですか?

「『赤いスイートピー』は、赤い刺繍糸で手縫いしています。表紙から始まる赤い糸が、歌詞の一文字一文字を繋いでいき、最後には再び表紙に戻っていくデザインになっています。この本の文字全てが一本の赤い糸で結ばれている仕掛けです。あえて本の背で蛇腹のページを留めず、横に長く伸ばせる仕様にすることで、より一本に繋がる赤い糸を感じられるようにしました。そのような製本にすることによって、ページの裏側も見ることが出来、印刷ではなく刺繍をしている、ということのリアリティを感じてもらえるようにしました」

「『渚のバルコニー』は、外側の紙をカッターで切り抜いてから、一枚の紙を中に挟む形で袋綴じにしています。波打ち際のようなラインは、手塚治虫さんの漫画を参考にしました。読めるギリギリのところを狙いながら文字の造形を作り出したり、紙と紙の間に落ちる影によって文字が読めるような白が多いページを作ったりすることで、ページごとに小さな発見をしてもらいたいと思い、制作しました。『ラベンダーの夜明けの海』や『白いサンダル』という言葉が出てくる箇所では、さりげなくその色に呼応するように背景の色づけをしています」

「『瞳はダイアモンド』は、全て鉛筆で描写しています。背景の薄いグレーも全て、鉛筆の7Hで描き尽くしています。文字の上にダイアモンドを置いていく想像をしながら、反射する様子を描いていきました。「幾千粒の雨」という言葉に反応するように、小さなダイアモンドが降り注ぐイメージにしたり、サビでは大きくキャッチーな宝石を登場させたりして、めくるごとに抑揚を付けています。正方形の紙を斜めに縫って、ページが三角形になるように製本することで、少し鋭く、心に痛い歌詞にマッチさせました」

――聖子ちゃん世代ではないのにどうして好きになったのですか

「大学時代、音楽番組で昭和歌謡が取り上げられることが多い時期がありました。そのなかでも、松田聖子さんの歌は、歌声はもちろん、楽曲自体がとても素敵に思え、YouTubeで当時の動画を見漁るうちにファンになりました」

――作詞・松本隆、作曲・呉田軽穂(ユーミン)にこだわった理由は?

「松本隆さんが描く女の子は、かわいくて純粋なのに、同時に、自分を強く持っていて芯があるように感じます。その女性像はとても今っぽく、少し憧れすらあります。時に、フレッシュなあどけなさにじれったく感じたり、時に、大人びたあざとさにドキドキしたり、最初から最後まで目が離せない。そんな歌詞が、呉田軽穂さんの深く心に残るサウンドに乗って、松田聖子さんの遠くまで響くまっすぐな声で歌われた時に、ものすごくあざやかに輝きだすように思います」

「松本隆さんの歌詞は、色彩にあふれています。「映画色」とか「春色」とか、断定できない色もたくさんあります。もちろん正解はないのだけど、曲の色がどんな色なのか、想像をふくらませ、自分の思う松本隆さんの色を表現してみたい、という気持ちがありました。言葉の色は、前後の言葉で色の彩度が変わって感じるように、デザインの色も、形や素材で大きく印象が変わるように思います。その探究を楽しみ切りたいと思い、松本隆さん作詞のものを選びました」

清水さんのツイートは松本隆の目に止まり、リツイートしてくれたという。「いつか何かでお仕事をご一緒出来る日が来るよう、自分を磨いていきたいです」と思いを新たにしていた。

◆清水彩香 / Ayaka Shimizu アートディレクター / グラフィックデザイナー。1988年神奈川生まれ。2012年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒。good design companyとBLUECOLORを経て、2017年独立。広告、パッケージ、ロゴなど、様々な領域のアートディレクションを行う。

(まいどなニュース・佐藤 利幸)

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最終更新:5/23(土) 16:08
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