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医療従事者へフェースシールド届けたい 3Dプリンターかき集め製作

5/23(土) 12:00配信

産経新聞

 「3Dプリンター求む」「一緒に『フェースシールド』を作りませんか!」。こんな呼びかけをした会社が、広島県にある。呉市の航海機器販売業「豊國」だ。新型コロナウイルスの感染拡大に立ち向かう医療従事者に提供したいとオリジナルのフェースシールド制作に乗り出したのだが、そう簡単にはいかなかったのだという。

【図】豊國に寄せられたフェースシールドの完成品

 ■エンジニア集団の決意

 「最前線でウイルスと闘っている医療関係者に対し、何かお役に立てることはないかと思ったのがきっかけです」。こう話すのは豊國社長の山路恵司さん(64)だ。

 同社は昭和30年創業。船舶を進めるプロペラやオートジャイロなどの機器の販売・修理業を営み、年商は23億円。新型コロナ禍では海上自衛隊などからの受注もあるため業績面で大きな影響を受けていないというが、社員らの時差出勤や公共交通機関の利用自粛など感染対策を行っている。

 一方、約80人の従業員の約7割がエンジニアなどの技術者。船舶機器以外にも新たな分野の商品開発にも積極的に取り組み、独自の技術を高めてきた経緯があり、新型コロナの感染が拡大してきたのにあわせ、オリジナルのフェースシールドを開発して医療関係者に寄贈することを決めた。

 樹脂製で、ビニールやクリアファイルなどをクリップで止める場所が耳の部分にある仕様で設計図を作り、4月下旬から社内にある3Dプリンターで製作に乗り出した。だが、大きな問題が判明した。

 ■3Dプリンターが足りない!

 同社は2台の3Dプリンターを所有しているが、フェースシールド1個を製作するのに2~4時間かかり、1日に7、8個を製作する能力しかないことが判明したのだ。

 「一刻も早くお届けしたいのに、このままではいつになるかわからない」。こう感じた山路さんは、同じ思いを抱いて協力してくれる有志を募ることにした。

 「1台のプリンターだけでは非力ですが、仲間が多く集まればより多くのフェースシールドを贈ることができ、大きな力になると思った」

 3Dプリンターを所有する知人や、広島国際大学(同県東広島市)、県立呉工業高校(同県呉市)などが“参加”して計11台の3Dプリンターが集まり、5月13日時点で計300個超を作ることができた。「最終的には500個を作ることが目標」と山路さんも意気上がる。

 完成したフェースシールドは呉市を通じて医療関係者に届けられる予定で、5月20日にはまず300個を提供する。「医療現場で働いている人たちは感染の恐怖と闘いながら仕事をしている。社会の役に立つことは、長く地域に根ざした会社としては使命だと思っている」と山路社長は話している。

最終更新:5/23(土) 12:00
産経新聞

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