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使い捨てのため安全性高く 紙製フェースシールド、その名は「オリガミ」

5/24(日) 12:00配信

産経新聞

 新型コロナウイルスの感染拡大で医療用資材が不足する中、鳥取大医学部付属病院(鳥取県米子市)が県内企業と連携し、紙製フェースシールド「ORIGAMI(オリガミ)」を開発した。軽くて曇りにくいのが特徴で、折り紙のように手で折って使用する。使い捨てのため安全性も高い。プロジェクトチームは「感染防御のために多くの人に役立てばうれしい」と話している。

【写真】改良を重ねた産学共同開発の紙製フェースシールド

 ■軽量、締め付けなく

 オリガミは鳥取大医学部付属病院のほか、同大発のベンチャー企業メディビート(米子市)、包装資材などを手掛けるサンパック(同県倉吉市)、ヤママスデザイン(同)が今年4月にプロジェクトを立ち上げ、共同開発した。

 ボール紙にポリプロピレンのフィルムを貼り付けた組み立て式で、顔面を覆って上下左右からの飛沫(ひまつ)を防ぐ。約30グラムと軽量の上、ゴムを使っていないため締め付けがなく、長時間装着しても痛みがないという。

 顔面とフィルムの間に隙間を設けることで医療用「N95マスク」着用時も曇りにくい構造になっている。

 開発を担当した同病院新規医療研究推進センターの藤井政至助教は「現場で使いやすく、紙製でも十分な性能が得られる形状を考えた」と話す。

 ■試作100回以上

 オリガミの開発は、消化器病専門医の藤井助教が、東京都の医療機関で働く知人の医師から医療資材が不足する現場の切実な声を聞いたのがきっかけ。「クリアファイルで簡単にフェースシールドを作る方法を考えてほしい」と依頼され、これまでも同推進センターは地元企業と医療機器の開発に取り組んでいたことから、開発に乗り出した。

 藤井助教はその日のうちに、段ボール製の副木なども販売しているサンパックなどに協力を求め、プロジェクトチームを発足。一般的なフェースシールドはプラスチックなどを素材としているが、大量生産するため、紙で作ることにした。

 テレビ会議で東京の医療従事者から意見を聞きながら、シールド部分の曇りや音の聞こえ方といった課題を一つひとつ解決。100回以上の試作を重ね、わずか1週間で製品化した。

 ■軽症者ホテルに提供

 「思っていた以上の反響。医療現場に早く届けるために生産を急ぎたい」と話すのはサンパックの森和美会長だ。

 オリガミは完成から1週間後の4月25日には量産を開始。製造時間を短縮するため、当初は商品名などの印刷を省いて無地のままで出荷した。

 5月中旬までに約10万個を出荷し、鳥取県と東京都に各1万個が寄贈された。東京都では医療機関に加え、軽症者らの療養施設として都が借り上げたホテルに提供されたという。

 東京都のネット配信番組で実際に試着した小池百合子都知事も「医療現場で感謝されると思う。受付や理美容などにも広く使える」と喜んだ。

 藤井助教は「医療現場で紙製の製品はあまり使われないので不安はあったが、現場に受け入れてもらえてよかった」と話す。新たに人と接する機会の多い小売業や行政機関などから受注を開始した。

 商品名の「ORIGAMI」は、世界共通の言葉として名付けられた。今後は海外への出荷も視野に入れている。鳥取大研究推進機構研究戦略室の古賀敦朗准教授は「新型コロナウイルスの問題は世界共通の課題。海外の人たちにも役立つと思う」と話している。

最終更新:5/24(日) 12:00
産経新聞

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