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【サクラエビショック、その後】アユもいなくなった中流域、濁る「母なる川」 異変はなぜ

5/24(日) 10:04配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 2018年春、かつてない不漁に陥った「駿河湾産サクラエビ」。国内では駿河湾でしか専門の漁が行われていない静岡県の名物だが、近年は台湾産の台頭にも悩まされ、廃業を選ばざるを得なかった地元加工業者もいる。不漁との関係がささやかれるのが、主な産卵場の湾奥に注ぎ込む陸域からの強い濁水だ。自然由来もある一方、企業活動由来の濁りも問題視される。流域では市民運動など住民がサクラエビ不漁をきっかけに海と川、森、人間の関係を問い直す動きにも広がっている。

■もともと濁りやすい川

 「あはんとは思ひわたれど富士川の終(つい)に澄まずは影も見えじを」―

 三十六歌仙の一人として知られる凡河内躬恒(おうしこうちのみつね)は、平安時代に駿河の国の歌枕とされた富士川の濁りに掛け、「会おうと思っているのだけれど、富士川が澄まないので影も見えない」と嘆いてみせた。当時からすでに「澄むことはない川」とのイメージは定着していたようだ。

 サクラエビ研究の元祖とされる生物学者中沢毅一(1883~1940年)も「駿河湾産櫻蝦(さくらえび)の研究」の中ですでに「富士川の水が特殊の濁りをなす」と述べ、サクラエビの成長にとって富士川が「母なる川」であることを力説している。

 富士川流域には、本州を横断する大断層「糸魚川-静岡構造線」があるため従来地質はもろいとされ、濁りの原因の一つになっているとされる。

■2011年から続く“異変”

 ただ、近年の陸域からの濁りはかつてと異なる、との指摘がサクラエビやシラス漁師から出ている。

 注目が集まるのは、大手アルミメ-カ-日本軽金属蒲原製造所(静岡市清水区)の工場放水路から主産卵場の湾奥に注ぐ濁水。アルミ製錬(14年3月に撤退)のため国策企業として誕生した同社は、ほとんどが土砂で埋まる雨畑ダム(山梨県早川町)も管理する。

 ダム上流の水害を受け、国から行政指導を受けた同社は4月下旬、国に5年間で700万立方メートル(東京ドーム5杯分)を搬出する計画を提出した。

 このダム下流から延びる導水管は途中複数の同社自家用水力発電所を経て放水路につながる。静岡県によれば、11年度から急激に濁りが強くなり、その後回復が遅れているという。

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最終更新:5/24(日) 10:32
@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

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