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スティング: 再び曲を作り始められたわけ

2015/5/28(木) 18:04配信

TED

Sting

翻訳

(音楽) ♪ 全ては福音に語られている♪


♪マグダラの娘が墓を参り♪


♪その心は乱された♪


♪空の墓を見つけたとき♪


♪藁敷きは巻かれ♪


♪聖骸は跡形も無く♪


♪暗く冷たい墓穴があった♪


♪娘が扉に近付いたとき♪


♪人影を見つけた♪


♪孤独な人影には後光が射し♪


♪彼はゴルゴタの丘を超え 漂うように歩み続ける♪


♪全能の存在の 速さで♪


♪しかし 娘はまだ追いつくかもしれない♪


♪主よ教えて下さい どこへ行かれるのですか♪


♪何故そんなに急ぐのですか?♪


♪娘よ 妨げる事なかれ♪ ♪時間が惜しいのだ♪


♪船が明日正午に進水する♪


♪朝日が昇る前にそこへ着かなければ♪


♪遅れる訳にはいかぬ♪


♪若者達が私を待っている♪


♪これ以外の何の為に 神が私を復活させるというのだ?♪


♪何も私を妨げることはない 私は辿り着かなければ♪


♪嵐の牙をくぐり抜け♪


♪強風の直中に♪


♪天使達よ 私を守り賜え♪


♪他の全てが滅びようとも♪


♪そして最後の船が旅立つ♪


♪鎖のぶつかり合う響き♪


♪枕木の軋む音よ♪


♪世界の終わりの音が耳に聞こえ♪


♪そびえ立つ鉄塊が海へと進み出し♪


♪そして最後の船が旅立つ♪


私が生まれ育ったのは 造船所の影に隠れた 英国北東の岸辺にある小さな街で 子供の頃の最初の記憶では 巨大な船が 私の家の前の道の行き止まりに停泊し 一年の大半 日光さえも遮っていました 子供の頃 毎朝 あの丘を何千と言う男達が下り 造船所へ向かうのを見たものです そして同じ男達がまた 夜になり 家路へ付く姿が見えました 造船所は 隣に住むにしろ そこで働くにしろ 最高な場所ではない と言わざるを得ません 造船所は 騒々しく危険で 危険な毒物に溢れ 健康と安全が脅かされる場所です


それにも関わらず 造船所で働く人々は 男も女も皆 仕事に対して並外れた誇りを抱いていました 当然の事でもあります 地球上で造られた 最も大きな船体の幾つかが 私の家の前の通りの 行き止まりで造られました


祖父は造船工で 子供の頃 街には他に幾つかの職業しか無く 少しの不安と共に それがいつか否応無しに自分の運命に なるのだろうかと思ったものです 私には絶対そうはなりたくないという 固い意志がありました 夢もいくつかありました 決して現実的なものでは ありませんでしたが 8才の時に ギターを譲り受けたのです それは古く傷み 錆び付いた弦は5本 音も外れたギターでしたが 私は直ぐに弾けるようになりました そしてギターという生涯の友を 得た事に気付いたのです この殺風景で奇妙な 工業の街の景色から 逃げ出すという計画の 共犯者、共謀者となったのです


もし強く望めば 夢は叶うと言いますが 果たして そういうことだったか 私が桁外れに幸運だったのか― とにかくこれが私の夢でした この街を出て あの船のように 出航してしまえば もう二度と 戻るまいと思ったのです シンガーソングライターに なりたいと夢見て その歌を 世界中の人々に歌い 贅沢な報酬を得て 有名になり 美しい女性と結婚して 子供を持ち 家庭を築き 田舎に大きな家を買い 犬を飼い ワインを造り グラミー賞で飾られた数々の部屋と プラチナディスクその他諸々を持つ― とりあえず 上手く行ったようですね?(笑)


そしてある日 曲が浮かばなくなりました 今までにも時々創作に 行き詰まる事はありましたが それは短い間だけのものでした ところが今回は 慢性的なものでした 来る日も来る日も 頭の中は真っ白で 何も思い浮かばず 数日は数週間になり それて数ヶ月になり まもなく数ヶ月は 数年となりましたが 努力も虚しく 何の歌も浮かびませんでした やがて こんな考えが浮かび始めます 神々が見捨てる程の どんなひどい冒涜をしたというんだ? 作曲の才能は与えられた時のように あっさりと奪われてしまったのだろうか? もしかしたらより深刻な 精神的な問題があるのかも知れない 確かに創作はいつも ファウストの 悪魔との契約のような行為でした 内面をさらけ出し その代償として曲が完成し ごく個人的な感情を歌にして 人を楽しませたり 人にあれこれと分析されたりして来て きっともう十分にプライバシーを 出し尽くしたのかも知れない きっともう十分にプライバシーを 出し尽くしたのかも知れない


ただ 今までの作品を見てこう思いました 一番出来の良い作品は 自分についてのものでは無く 他の誰かについての 作品だったんじゃないか? ひょっとして自分の傑作たちは 自分のエゴから離れて 自分自身の物語を語る事を止め 誰かの物語を― 声を持たない誰かのことをー 親身になって その人の事を考えてみたり その人の視点で世界を見たりした時に 生まれなかっただろうか?


自分の知る事を書け そう言いますね 自分の事を書く事が出来なくなったら 何を書けばいいんでしょう? 皮肉な事ですが 必死に逃げ出した場所の景色と 自ら亡命者となり見捨てた故郷は 自ら亡命者となり見捨てた故郷は 正に私が見失った音楽の女神を 探しに戻らなければならない 景色であり故郷だったのです


そうして私が 自分の故郷の共同体を讃え その物語を語ろうと思うと 歌はすぐさま湧き出て来ました 体の奥から抑えようもなく 噴き出してきました アイデアや登場人物 そしてそれぞれの台詞が 詩が、カプレットが、急流となって溢れ 眼前に曲の全体が完全な形で出来上がって 眼前に曲の全体が完全な形で出来上がって それはまるで私の中に何年もの間 閉じ込められていたものが 溢れ出たかのようでした 最初に書いたことは 知り合いの名前のリストで 彼らはやがて 3-Dのドラマのようなものの 登場人物となって 自分は何者で 何をしている とか 夢や将来への不安を語り始めました


これはジャッキー・ホワイトの歌 造船所の親方の歌です


俺の名前はジャッキー・ホワイト 俺は造船所の親方さ この波止場で ジャッキー様に楯突く奴はいないぜ 俺は鉄板のように硬い 遅刻しようものならただじゃすまねえ 春の潮へと船を 押し出さなきゃならないって時に 死んだら天国に行けると 信じるといいさ シフトはちゃんと勤めてくれよ そして最後まで援護を頼むぞ 聖ペテロに天国の門で おまえが遅れた訳を聞かれたら 船を造っていたと言えばいいさ 女王陛下の為に


戦艦もクルーザーも造った それから海運王へ 超大型タンカーを造るまでに あらゆる種類の船を 最も巨大な船も造った 世界が目にしたものの中で―


♪唯一の価値ある人生は造船所にあるのさ♪


♪材料置き場に鉄材 魂に鉄を♪


♪それだけあれば船が出来上がるのさ♪


♪船体だけの姿から♪


♪もしも造船所が売られたら♪


♪俺たちには行き場も無いさ♪


♪唯一の価値ある人生は造船所にあるのさ♪


(拍手)


自分ではなく 他の誰かについて書くと決めたら 自分ではなく 他の誰かについて書くと決めたら 皮肉な事に 思った以上に自分自身が さらけ出されることがあるのです この曲は『死人のブーツ』といいます この言葉は仕事に就くのが どれだけ大変な事かを表しています つまり 造船所で仕事に就く時は 誰かが死んだ時です それか父親がどうにかして 15歳の息子に見習い職を 見つけたりした時で そして時折 父親の愛情は 抑圧的だと誤解されてしまったり そして 逆に息子の夢は ばかばかしい絵空事のように 思われてしまったりします (音楽)


♪この手に持った作業靴♪


♪そろそろ息子のお前の足に合うだろう♪


♪これをお前に贈ろう♪


♪履いてみるといい♪


♪見てみたいもんだ♪


♪いつかお前がこのブーツを履き♪


♪男達の仲間入りをするのを♪


♪船台の上で働く男達の♪


♪この死人のブーツは 古びて反り返っているが♪


♪新米が仕事とこの世での 居場所が必要になったら♪


♪男が根を下ろす時が来たのさ♪


♪親父のブーツを履いて 川へ向かうんだ♪


♪父は言った「もう逝く時が来たが息子よ」 ♪


♪「聞いて欲しい願いが一つある」♪


♪「まだ若木のお前は 自分が成木と思っている」♪


♪「もし繁り栄えたければ」♪


♪「まずは根をしっかりと降ろす事だ」♪


♪「まず片足 そしてもう片足を」♪


♪「この死人のブーツに」♪


♪この死人のブーツは 古びて反り返っているが♪


♪新米が仕事と 居場所が必要になったら♪


♪男が根を下ろす時が来たのさ♪


♪親父のブーツを履いて 川へ向かうんだ♪


♪俺は言った 「何故そんな事をしなきゃならない?」♪


♪「何故頷かなきゃいけないんだ?」♪


♪親父には殴られた 記憶しかないというのに♪


♪覚えている限り♪


♪親父の溢れるような優しさに 浸されたような事もないし♪


♪それまでさ♪


♪自分の人生は自分で 決めてここを出て行くんだ♪


♪9月に成人したら♪


♪この死人のブーツはお払い箱だ♪


♪どこへ行こうと知ったことではない♪


♪俺には選択肢が幾らでもある 道も幾らでもある♪


♪でも死人のブーツを履いて歩く事はない♪


♪親父は何を思って♪


♪俺が親父と同じ人生で 幸せになると思ったのか♪


♪ようやく残ったのは 半ペニーが2つ♪


♪割れて汚れた壷♪


♪同じ惨めな人生を俺に望むなんて♪


♪それが最後の望みだったのか?


♪親父は言った 「一体何をして生きて行こうってんだ?」♪


♪俺は言った 「これ以外なら何でもいいさ!」♪


♪「こんな死人のブーツなど 糞食らえだ」♪


♪ひとりでに歩いて行ってしまうがいいさ♪


♪だが俺は別の道を行くつもりだ♪


♪もう我慢は限界だ 言う事は言わせてもらおう♪


♪親父に残されたのは壁の十字架だけだ♪


♪親父から何も もらおうなんて思っていないさ♪


♪退職金も僅かな金も 人生が終わった親父からは♪


♪よく聞いてくれ 俺は親父とは違うのさ♪


♪もう言い合いは懲り懲りだ もう争いは止めだ♪


♪死ぬまで待っても 死人のブーツなんか俺は履かない♪


(拍手)


ありがとうございます


大型船が出来上がる度に ロンドンから要人が汽車に乗って スピーチをしに招かれるのです 船首でシャンパンのボトルを割り 船台の上を船が 川へそして海へと進みます 時折本当に重要な船だと 王室の誰かが呼ばれ― エジンバラ公爵やアン王女や誰か― 良く知られたことですが そんなに遠く無い昔に イギリス王室は 魔法の治癒力を持つと 信じられていました 群衆の中から病気の子供が差し出されて ひどい病気が治るように 王や王妃の外套に 触らせようとしたものでした それは 私の子供の頃には もう廃れた風習でしたが それでも街は大騒ぎになりました


船の進水式の日は土曜で 母は私を日曜のミサのように飾り立て 私はふくれていました 子供達は皆 通りへ出て イギリス国旗を振り 丘の上には オートバイの一団が現れ その真ん中には 大きな黒いロールスロイスがいて 女王陛下が乗られています これは大変なことです 行列は私の家の前の通りを 堂々とした歩き方で進み 私の家の近くへ来ると 私は旗を元気いっぱいに振り始め 女王陛下が目に入ります 私と女王陛下の目が合ったように思え 陛下は私を見て 手を振り微笑みます 私は旗をより一層元気に振り 二人は一瞬を共有します 私と女王陛下 女王は私に視線を向け そして行ってしまいます


ええ 私は何の病気も治りませんでしたが その逆で 私は熱にうかされるように ある考えに侵されていました 自分の居場所はここじゃない あの家には住みたくない あの造船所なんかで 一生を終えたくない あの車に乗りたい(笑) 華やかな暮らしがしたい この街より大きな人生を生きたい 平凡でない人生が欲しい それは私の権利だからです それが女王の権利であるように 私の権利でもあります そして今ここTEDの舞台にいます この物語をお話するためでしょう この当然とも言える事を語るのも また良いでしょう 共生的で本質的な繋がりが 物語を語ることと コミュニティの間に コミュニティと芸術の間に コミュニティと科学技術の間に そしてコミュニティと 経済学の間にあると 私が信じているのは 抽象的な経済学理論で コミュニティの必要性や その経済的貢献を否定するものは 近視眼的で 残酷で 支持され得ないものだということです


(拍手)


真実は―ロックスターも 造船所の溶接工も アマゾン川上流の部族の男も イギリスの女王も― 結局は 私達は皆同じ運命なのですから


♪召使いは動揺している♪


♪女王は駅まで タクシーを拾って行ってしまった♪


♪ポーターは女王の荷物が無いので驚いて♪


♪慌ただしく女王と 三匹のコーギーを客車の後ろへ乗せた♪


♪列車はあらゆるヨーロッパ貴族で一杯で♪


♪一人も仲良くしようという客はおらず♪


♪席の取り合いさ♪


♪『失礼ですが 猊下殿♪


♪そこは私が座っているのです お席にお戻り下さい!』♪


♪『一体皆どこへ行こうと言うんだろう?』♪


♪ポーター達は議論する♪


♪『皆ニューキャッスルへ行くので 遅れられないのです♪


♪満潮になったらタイン川で船の進水式がある♪


♪それで皆 世界のあらゆるところから来たのです』♪


♪老ダライ・ラマもいる♪


♪ローマ教皇も♪


♪ヨーロッパのすべての宮殿には 人っ子一人残っていない♪


♪コーンウォール公爵夫人とウェールズの王子♪


♪シルクハットと燕尾服が窮屈そうだ♪


♪彼らは切符さえ買っていない♪


♪まあまあ そんなのは小さな事だ♪


♪買っている時間等無いが ただうまくやらなければ♪


♪造船所へ着かなければ 刑務所行きだ!♪


♪最後の船が旅立つ時♪


♪鎖のぶつかり合う響き♪


♪枕木の軋む音よ♪


♪世界の終わりの音が耳に聞こえ♪


♪そびえ立つ鉄塊が海へと進み出し♪


♪そして最後の船が旅立つ♪


♪お前の残した約束が何であれ♪


♪何を成し遂げていようと♪


♪人生の途中のどの時点にいようと♪


♪神とイエスの御名において♪


♪例えどんな人生を織り上げて来ようと♪


♪地上 天上 日の下どこにいようと♪


♪最後の船が旅立つ時♪


♪鎖のぶつかり合う響き♪


♪枕木の軋む音よ♪


♪世界の終わりの音が耳に聞こえ♪


♪そびえ立つ鉄塊が海へと進み出し♪


♪そして最後の船が旅立つ♪


ご清聴ありがとうございました ありがとうございます(拍手)


ありがとう


この曲を知っていたら歌って下さい (音楽)(拍手)


♪ただの漂流者の僕♪


♪海にぽつりと漂う無人島で♪


♪また孤独な1日が過ぎる♪


♪自分だけの世界♪


♪耐えられないほどの寂しさに♪


♪絶望してしまう前に 誰か助けてくれないか♪


♪世界に向けてSOSを送ろう♪


♪世界に向けてSOSを送ろう♪


♪誰か拾ってくれないか♪


♪誰か拾ってくれないか♪


♪誰か拾ってくれないか♪


♪瓶に入れたメッセージを♪


♪瓶に入れたメッセージを♪


♪それから1年が経った♪


♪最初から分かっていたはずだった♪


♪希望だけが 自分らしさを保たせる♪


♪愛だけが 人生を癒してくれる♪


♪愛に傷つけらるけれど♪


♪世界に向けてSOSを送ろう♪


♪世界に向けてSOSを送ろう♪


♪誰か拾ってくれないか♪


♪誰か拾ってくれないか♪


♪誰か拾ってくれないか♪


♪瓶に入れたメッセージを♪


♪瓶に入れたメッセージを♪


♪瓶に入れたメッセージを♪


♪瓶に入れたメッセージを♪


♪今朝 外に出て♪


♪信じられない光景が広がっていた♪


♪1,000億もの瓶が♪


♪岸辺に打ち上げられていたんだ♪


♪孤独なのは僕だけじゃなかった♪


♪1,000億の漂流者たちが♪


♪帰る場所を探していた♪


♪世界に向けてSOSを送ろう♪


♪世界に向けてSOSを送ろう♪


♪誰か拾ってくれないか♪


♪誰か拾ってくれないか♪


♪誰か拾ってくれないか♪


♪瓶に入れたメッセージを♪


♪瓶に入れたメッセージを♪


♪瓶に入れたメッセージを♪


♪瓶に入れたメッセージを♪


ここから一緒に歌って下さい 次のパート 簡単です 一緒に歌いましょう さあ


♪SOSを送ろう♪ さあ歌って


観客:♪SOSを送ろう♪


スティング:♪SOSを送ろう♪


観客:♪SOSを送ろう♪


スティング:♪SOSを送ろう♪


観客:♪SOSを送ろう♪


スティング:♪SOSを送ろう♪


観客:♪SOSを送ろう♪


スティング:♪送ろう♪


♪SOSを送ろう♪


♪SOSを送ろう♪


♪SOSを送ろう♪


♪SOSを送ろう♪


♪♪♪


ありがとうTED 良い夜を


(拍手)


スティングの生い立ちは造船所と共にありました ― 彼はこの重労働と工業の世界から逃げ出す事を切望する少年でした。しかし、何年も続くライターズ・ブロックに陥って作曲できなくなった後、彼は昔なじみの造船所の労働者たちの物語を歌い始めました。叙情的な告白の物語と共にスティングは新しいミュージカルの歌を、そしてアンコールで『メッセージ・イン・ア・ボトル』を披露します。 ( translated by Eriko T. , reviewed by Takafusa Kitazume )

動画撮影日:2014/3/18(火) 0:00
TED