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サイモン・アンホルト: どの国が世界にとって最も「善良な」国なのか?

2015/6/2(火) 14:18配信

TED

Simon Anholt

翻訳

私は世界が ここ20、30、40年でどのように変わったのか 最近よく考えています 2、30年前は もし東アジアの片田舎の村で ニワトリが風邪を引き くしゃみをし 死んでも そのニワトリ自身とその周りの仲間には 悲劇だったでしょうが 世界的な病気の脅威や 何百万の死を恐れる可能性など あったとは思いません 2、30年前は北アメリカの銀行が 返済不能の人に 融資し過ぎ 破産したとしても 貸し手と借り手にとっては とんでもないことだったとしても 我々は世界の経済システムが 10年近くも停滞することになろうとは 思いもよらなかったのです


グローバリゼーション この奇跡は 我々の肉体や精神 言葉を 絵を アイデアを 教訓を 学問を これまでになく 早く 安く 地球中に伝播させてくれます 私が先ほど言ったような 多くの良くない事をもたらしますが 多くの良い事も もたらしているのです 我々の多くは 締切のずっと前に 達成されているものもあると言う この「ミレニアム開発目標」の大成功に 気づいていないのです 目標達成の事実は 人類が 協力しあい 努力をすれば とてつもない進歩を実現できる ということを証明します ただし かいつまんで言うとしたら 私たちは グローバリゼーションに 不意打ちをくらった状態なので 対応が遅れているように 最近感じるのです もし 皆さんがグローバリゼーションの マイナス面を見れば 打ちのめされそうになるのもわかります 今日我々が直面している課題― 気候変動や人権 そして人口統計 テロリズム 世界的流行病 麻薬密売 奴隷制度 絶滅種 等など たくさんの課題があるにも拘わらず 等など たくさんの課題があるにも拘わらず 我々はほとんど手が付けられていません


つまり この興味深い歴史上の時点で 我々全員が今日直面する 課題なのです それは明らかに我々が次にすべきことです 我々はどうにか上手いこと グローバルに問題解決する方法を 協力して見つけ出し 人類を単にグローバリゼーションの 被害者として終わらせないために 努めなければいけません


どうして我々は遅々として前進できないのでしょうか? 理由はなんでしょうか? もちろん 多くの理由があります でも 恐らく一番の要因は 人類は 未だ2, 300年前と 同じように組織されている ということでしょう 地球上には70億人の巨大な力― それは これら全ての問題を招いている 我々自身なのですが― 同じように その70億人の我々は 全てを解決できるでしょう でもこの70億人は どう組織されているのでしょうか? 彼らは未だ 200強の国家に収まり 国家は政府を持ち 法を定め 一定の行動をするよう促します それはなかなか有効なシステムですが 問題なのは それらの法の成り立ちと 政府の考え方は 地球規模の問題解決には 全くもって不適切なのです なぜなら 全て内政のためだからです 我々が選出した政治家と 選出しなかった政治家も 概して 小さな視野で考えており 大きな視野で問題をとらえていないのです 彼らは あたかも 全ての国は 独立した島として存在し 独自の惑星 独自の太陽系に存在し ほかの国とは無関係に 幸せに暮らしていると 思い込んでいるかのように 振る舞うのです これは問題です 国々は互いに張り合い 争いをしているのです 今週でも 他のどの週でも同様に 皆さんは国家間で互いに殺し合おうと している人々を見るでしょうし それが行われてない時でさえ 国同士の張り合いがあり 互いをやり込めようとしているのです


これは明らかに良い状態ではありません 我々はきっぱり改めなければなりません 国々が少しでもより良く 手に手を取りあえるように 後押しする方法を 探す必要があるのは明白です でも どうして彼らはそれをしないのでしょう? 我々の指導者が今だ内政に固執するのは どうしてでしょう?


まず最初に考えられる明白な理由は 我々が彼らにそれを求め そうするよう 命じているからです 我々が政府を選出した時 もしくは選挙によらない政府を許容した時 我々が政府に望んでいることは 自国にいくつかの事柄をもたらすことだと 事実上 伝えているのです 我々は 繁栄を、成長を、強さを 透明性を、正義を それらすべてを もたらしてほしいのです ですから 我々が政府に対し 外政について それから 人類を滅ぼしかねない地球規模の問題を 少しでも考えるよう 求めない限り もし政府が内政のみを見続け 広い視野ではなく 狭い視野に固執しても 彼らを非難することはできません それは事態が変わらない第一の理由です


第二の理由はこれらの政府は ちょうど残りの我々のように 文化的なサイコパスなのです ぶしつけな物言いですが サイコパスをご存知ですよね? サイコパスというのは 不運なことに 他人に真に共感する能力が 欠如している人の事です 彼らは辺りを見回しても 深く豊かな3次元の暮らしや 目標や熱意を持った 他人というものを認識しないのです 彼らに見えるものは 人型の段ボールなのです とても悲しく とても孤独で ―幸いにも― とても稀なことです


でも確かに 我々の大半は それほど共感するのは得意ではないですよね? もちろん 見た目や歩き方 食べ方や祈り方それから服装などが 我々と似ている人々であれば とても上手に共感するでしょう でも我々のように着飾るわけではなく 祈るわけでもなく 話すわけでもない そんな人々となると 我々も段ボールの切り抜きのように 感じる傾向があるのではないでしょうか? これは自問すべき問いなのです 常に監視べきだと思います 我々と政治家は 文化的サイコパスになっていやしないかと


第三の理由はとても馬鹿げているので 言及に値しないのですが 政府の中には 国内の課題と国際的な課題は 両立し難く今後もそうであるという 信念があるのです これは馬鹿げています 普段 私は政策アドバイザーとして仕事をし 直近の15年くらいは 世界中の政府にアドバイスをしているのですが どんな国内問題であっても 最も 創造的 効果的 迅速に解決できる 方法があります 国際的問題と捉え 国際的な視野で取り扱い 他国の取組と比較し 外部を招き入れ 国内に閉じずに外部と共に 取り組むことです


それでも と皆さんは言うかもしれません どうして 上手くいかないのか? どうして 政治家を変えることが出来ないのか? どうして 彼らに要求できないのか? 多くの人と同様 私は多くの時間を 人を変えるにはどれだけ難しいのか 愚痴ることに費やします でも それにヤキモキすべきではないのです 我々は本質的に保守的なのだと ただ受け入れればいいのです 変わるのは好きではありません それは進化論的にとても賢明な理由によるのです もし我々が変わることに抵抗がなかったら 我々は今日ここにいることはなかったでしょう とても単純なことです 数千年も前に もし我々が同じことをやり続ければ 死なないことを発見したのです 一度行って死ななかったことは 私たちを殺しはしなかったのです ですから そうし続ける限り 我々は安泰であり 死ぬかもしれない新しいことを しないのは実に賢明なことであるのです しかし もちろん例外があります さもなくば 八方塞がりです その例外は 興味深いもので 皆さんが他人に対し 自己利益になることを見せた場合です それは他人に信頼を与え 少しの変化を生み出すのです


だから 私はこの10年 15年を 何が自己利益になり得るのか 政治家だけでなくビジネスマンや一般の人にも いつも自分たちのことだけをみるのではなく 少し外に目を向け より広い視野で考えることを 後押しできるようなものを 見つけ出そうとしてきました そして 私はとても大事なことを 発見しました 2005年に「国家ブランド指数」 と呼ばれる研究を始めました それは非常に大規模な世論調査で 地球上の約70%の人口から代表された 非常に多くの人々に対して 他国のイメージについての 一連の質問を行ったのです 国家ブランド指数は年を追うごとに とてもとても大きなデータベースに なってきています 約2000億のデータポイントが 一般の人が他国について何を そしてどうしてそう考えるかを追跡しています ではなぜ これを始めたのでしょう? なぜなら私がアドバイスする政府は 自国のイメージにとても興味があるからです 部分的には 私が彼らに 自国が世界で生き残り 繁栄するには イメージが重要と考えるように 働きかけたからですが 彼らは知っています もし国家がドイツやスウェーデンやスイスのような 素晴らしいポジティブなイメージを持っていれば 全ては簡単でたやすいのです より多くの観光客や投資家が来ます より高く商品を売れます 一方 もしとても弱弱しい ネガティブなイメージの国家だったら 全ては難しくて高くつくでしょう ですから 政府は自国のイメージを とても気にするのです 何故なら国家のイメージは 国の稼ぐ力に直接に違いを生み そしてそれは彼らが自国民に もたらすと約束したそのものだからです


ですから2、3年前 時間を取って その膨大なデータベースから 何故人々はある国を他の国よりも 好ましいと思うのかについて 答えを導き出そうと思いました そのデータベースがくれた答えは 衝撃的なものでした それは6.8でした 詳しく説明する時間はないのですが 基本的に教えてくれたものは― (笑)(拍手)― 我々が好むような国は 「善良な」国であるということです 我々はお金があるからとか 力があるからとか 成功しているからとか 近代的だからとか 技術的に進歩しているからとか そんな理由では国を称賛しないのです では「善良な」とは? 我々が住む世界に 何か貢献してくれるような国や 実際に世界を安全に またはより良く 豊かに 公平に してくれる国のことを 我々は指しています それらは私たちが好きな国です この発見は大きな意味を持つのです- 私が何を意図しているか- 何故なら それは円を四角くしているのです どんな政府にも今なら言うことができ またそうしていますが 上手くやるために- もしより多くの商品を売りたいなら もしより多くの投資を得たいなら もしより競争力を持ちたいなら 「善良な」行いをし そう振る舞う必要があると 何故ならそれが人々があなたを尊敬し ビジネスをする理由になり だからこそ より協力すれば より競争力が得られるのです


これはかなり重要な発見で 発見するや否や 私は新たな指数が 出現するのを感じたのです 実は年齢を重ねるほど 私のアイデアはシンプルで ずっと子供っぽくなります これは「善良国家指数」と呼ばれるもので まさに正確に その名の通り測ります それは地球上の各国が 自国民を除いた全人類に対して どれほど貢献しているのかを 評価しようとするものです 奇妙なことに これまで誰もこれを 評価しようと思ったことはなかったのです ですから 同僚のロバート・ゴーバー博士と この2年間 非常に真剣で聡明な多くの人々の協力を得 国々が一体世界に対し何を与えたのかを 見つけ出すための 世界中の信頼に足るデータを集めながら 最善を尽くしていたのです


皆さんはどの国が一番か待っていますよね では お教えしますが まず私が「善良な」国という時に 正確にそれが何を意味するのかを 皆さんにお教えしたいと思います 私が言う「善良」は 「より道徳的」とは違います 私が X国が地球上で 最も善良な国だという時 「最も善良」は「最高」を意味しません 「最高」は何か別のものです 皆さんが「善良な」国について議論する時 「善良」、「より善良」、「最も善良」 と言えますが 「良い」、「より良い」、「最高」 と同じではありません これは単純に他の国よりも 人類により多くを与えた国の事です その国の内政事情については 他のところで評価されるので 私は言及しません では勝者は と言いますと アイルランドです (拍手) ここのデータによると 地球上のどの国も アイルランドよりも 国民1人当たりで GDPの1ドル当たりで 世界に貢献している国はありません つまり これは我々が夜寝る時に 我々全員が眠りに落ちる15秒前の 最後の考えが 「ああ! アイルランドが存在してて嬉しい」 であるべきということなんです (笑) そしてそれは― (拍手) ― 私が思うには 非常に厳しい景気後退の深みで 自国の経済の再生を図る一方で 国際的な恩義を忘れずにいられるなら 重要な学びがそこにはあるのではないかと それは実に稀有なことなのです フィンランドはほぼ同じ評価です アイルランドより下となる唯一の理由は 最低点が低かったからです


さて トップ10で他に気付くことは ニュージーランド以外の国は 西ヨーロッパの国々だということです その国々はお金があるので 私を落胆させました 何故なら 私はこの指数において 純粋に豊かな一帯の国々が 貧しい国を助けるというものであるという 証拠など発見したくなかったからです でも 決してそれだけではありません 実際 リストの下の方をご覧いただくと スライドにはないのですが 私を実に喜ばせる何かが見えるでしょう それは ケニアがトップ30に入っているということで これはある非常に重要なことを 示しているのです 「善良」はお金の事ではありません 心構えの事なのです そして文化の事なのです 「善良」とは自分のことを勝手気ままに考えるのではなく 世界について気にかけ 他国について考える想像力や勇気を持つ 政府や人々についてなのです 他のスライドについても


いくつか下位の国々をご覧いただけるよう紹介します ドイツは13位 アメリカ合衆国は21位 メキシコは66位 さらに 95位のロシアや107位の中国といった いくつかの大きな発展途上国があります 中国やロシアやインドといった国々は ずいぶん下がって同じような順位ですが 見方によっては 意外なことではありません 彼らは自国の経済を確立するため また社会や政治機構を確立するために この数十年間 多くの時間を費やしてきました ただし 彼らの第二段階の成長は これまでの第一段階よりも もう少し外向きなものになるように 望まれているのです


それから皆さんは各国の評価の元となった 実際のデータセットを通じて 各国を詳細に見ることが出来ます 今日の深夜から goodcountry.orgで 皆さんが各国のデータを見られるように 用意しておきます 国別のデータセットの段階まで 掘り下げることができます


改めて「善良国家指数」ですが 何のために存在するのでしょう? それは私が「善良」について議論を起こすため この言葉を世界に紹介したい もしくは改めて紹介したいからなのです 私は競争力の高い国々についても 繁栄し 裕福で 成長著しい国々についても 十分なヒアリングをしました 幸せだという国々も十分なヒアリングをしました 自分の事だけ考えている国だからです 結局みんな 自分の事だけです 自分のことだけを考え続けていると 本当に困ったことになるのです 我々は聞きたいことが何であるかを 知っていると思います 善良な国について聞きたいですし 私は皆さんに一つだけ あるお願いをしたいのです それは簡単に出来て 面白くて役に立ちさえすると 感じるかもしれません それは ただ「善良な」という単語を この文脈で使い始めるというものです 皆さんが自国について考える時 他の人の国について考える時 企業について考える時 今日我々が生きる世界ついて話す時 今夜私が話をしたように あの言葉を使い始めてください 悪いの逆の「良い」ではありません これは終わらない議論になります 自己中心の逆の「善良」 です 善良な国は我々全てについて考えます これを私が皆さんに実践し 皆さんの政治家を正す杖として 使って頂きたいのです 皆さんが彼らを支持し 再選出する時 彼らのために投票し 彼らが皆さんのために何が出来るかを聞く時 例の言葉「善良な」を使い そして自問して下さい 「これは善良な国がすることであろうか?」 そして答えがもし「いいえ」であれば 慎重に自問してください それは私の国の 振る舞いであろうか?と 私はそういうことをしている 政府の存在する国の 出身でありたいか?と あるいは一方で 「私は善良な国出身で誇りに思う」と 顔を上げ 世界中を歩き回るような案の方を 好むのか?と 全ての人があなたを歓迎し 全ての人が夜 眠りに落ちる15秒前に こう言うのです 「神様 あの人の母国が存在してくれて感謝します」


私が思うに 究極は 何が変化を生み出すかだと思います 例の言葉「善良な」 そして6.8という数字 そして発見とその裏にあるものは 私の人生を変えたのです これらのことは皆さんの人生も変え 政治家や企業の振る舞い方を 変えることにも利用できると思いますし そうしながら 世界を変えることが出来ると思います 私はこれらのことを考え出してから 自国についての考えが大きく変わってきています かつてはお金持ちの国に住みたいと思っており それから幸せな国に住みたいと考え始めたのですが それだけでは十分でないと気づき始めたのです お金持ちの国に住みたくはなく 成長著しい あるいは競争力のある国に 住みたいわけでもありません 私は「善良な」国に住みたいのです そして 皆さんも同じように思うことを望んでいます ありがとうございました (拍手)


それはグローバリゼーションの副作用でした―例えば銀行の過融資は、かつては限られた地域での問題でしたが、今は世界規模で波及するものです。しかし未だに、あたかも地球上の唯一の国であるかのように、各国は独自で国家を運営します。ポリシーアドバイザーのサイモン・アンホルトは各政府の考えを外部へ表出させるようなユニークな基準、「善良国家指数」を創り出しました。ワクワクする本トークで、彼は「どの国が世界にとって最も「善良な」国なのか?」という問いに答えます。その答えは、(特にアメリカや中国に住んでいる人にとっては)驚くべきものでしょう。 ( translated by Masami Hisai , reviewed by Takamitsu Hirono )

動画撮影日:2014/6/23(月) 0:00
TED

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