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ジェームズ・グリーン: 地球外生命を宿しているかもしれない1つの惑星と3つの衛星

2016/9/12(月) 13:27配信

TED

James Green

翻訳

太陽系には地球の他にも 生命はいるのでしょうか?


なんとも大胆な問い掛けです 科学者としても ― 惑星科学者としても ― 最近になるまで 我々はこの問題を あまり真剣に取り上げませんでした


カール・セーガンは いつも言っていました 「意外な主張には 意外な証拠が必要になるんだ」 しかも 地球以外にも 生命がいると主張するのならば 明確な根拠を示し 声高に主張し 人々を信じさせるような 普遍的な理由があるべきです


では どのような 探査を行うべきでしょうか? 我々は まず ― 生命に必要な要素を 探そうと決心しました 生命に必要な要素とは 液体の水 ― 溶媒としての役割が必要なので 氷ではなく 液体の水でなければなりません エネルギーも必要です 体を構成する材料の 有機物も必要です さらに 有機物は摂取する必要もあります


このような要素が 生命の創生期において 長い期間 その環境のもとに存在することが 生命の発生、成長そして 進化を可能にさせるのだと 我々が確信をもつために 必要なのです


白状します 私が職に就いた頃 これら3つの要素について 考えてみると 短い期間 わずかな数でさえも 地球外に 生物が存在することは あり得ないと信じていました


なぜかって? 内惑星についていえば 金星はあまりにも暑いので 水が存在しません 火星は ― 乾燥し荒涼としています やはり水が存在しません 火星の外側というと 太陽系に存在する水は 全て凍り付いています


しかし 最新の観測結果は これらのことを全て覆しました より注意深く考察し 生命の謎に対する答えを見出そうと 今では 我々は適切な場所に 注意を向けています


太陽系においては どこに可能性があるのでしょう? 我々は4個所を 注意深く調べています 火星と 外惑星の3つの衛星 ― タイタン、エウロパと 小さなエンケラドゥスです


まず火星はどうでしょうか? 証拠となるものを探してみましょう 当初 我々は火星のことを 月のような星だと考えていました クレーターだらけで 乾燥した 死の世界です


そして15年ほど前のこと 火星に向かう 一連のミッションを開始し そこには地形を変えるような 水が過去にあったかどうかを 調査しました 変化した地形を 検知しなければなりません 実際 我々は直ぐに 驚くこととなりました 高解像度の画像は過去に形成された 三角州、河谷や峡谷を 写し出していました 実際 すでに3年もの間 地表を探査し続けている 探査車キュリオシティは 水が勢いよく流れていた 古河川の河床の上に いることを 見せてくれました 水が流れていたのは 短い期間ではなく おそらく何億年もの間です 有機物を含め 全てがそこにあったのならば 生命はおそらく誕生したことでしょう


キュリオシティは 赤土の中へと掘り込み 他の物質を取り出しました それを見て 我々はとても興奮しました なぜなら 火星らしい赤ではなく 灰色の物質だったからです 灰色の火星です これを探査車に持ち帰り 検査しました 何があったと思いますか? 有機物を検出したのです 炭素、水素に酸素 窒素、リンに硫黄 ― それら全てがそこにあったのです


だから 火星には昔 大量の水があって おそらく長い時間 生命がいたのかもしれません 生命が誕生し 成長したことでしょう では 今でも生命はいるのでしょか? それは分かりません


しかし 数年前のこと 数多くのクレーターの 調査を始めました 夏季になると クレーターの内側斜面に 暗い線が現れました より詳しく観測し より多くのクレーターを調べると この線は多く見つかり 今では 十数か所で見つかっています


信じられないような話が 数か月前に現実となったのです これらの条線の正体は 液体の水であると 我々は世界に向けて発表しました 夏の間 これらのクレーターでは 水が音を立てて流れています 液体の水がクレーターへと 流れ込んでいるのです 水があることは分かりましたが 次に我々がすべきことは? 火星には生命に必要な 全ての要素があることを示しています かつては 北半球の3分の2が 海で覆われていたことでしょう 今でも音を立てて 水が流れています 液体の水が表面にあるのです 有機物も存在します 全ての条件は整っています


次に何をすべきでしょうか? 火星に棲んでいる生命を探すために 一連のミッションを 立ち上げました かつてないほど 魅力的なミッションです


太陽系のもっと外側に行くと そこには小さな衛星 エンケラドゥスがあります ここは太陽周りの いわゆる ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)には 位置していません それよりは ずっと外側にあります この天体では珪酸塩でできた核の上を 氷が取り囲んでいるのに違いありません


しかし 我々は発見したことは? 2006年 探査機カッシーニが 近づきましたが エンケラドゥスの横を通り過ぎた 数年後に映像を振り返ってみると 皆が驚きました エンケラドゥスでは太陽系の空間に向かって 水が広がるように噴出し 衛星に勢いよく戻ってくるのです なんとも見事な環境です 数か月前にカッシーニは この水柱の中を通り抜け 珪酸塩の粒子を検出しました 珪素はどこから やって来たのでしょう? 海底からきたのに 違いありません 土星がこの衛星を 引っ張ったり圧縮したりして 潮汐力のエネルギーが生み出され 氷を溶かし 海洋を造り出します エネルギーは内部でも 生み出されています


地球上で類似のものが 考えられるとすれば 熱水噴出孔です 1977年 深海で 熱水噴出孔が発見されました 海洋学者は びっくり仰天しました 今ではこのようなものが何千個も 海底に見つかっています


そこで見つけたことは? 海洋学者が熱水噴出孔を 探査して分かったことは そこは生命に満ちているということです 水が酸性であろうとも アルカリ性であろうとも お構いありません 熱水噴出孔は生命にとって ここ地球にある素晴らしい棲みかなのです


エンケラドゥスでは どうでしょうか? 現在 水があり しかも とても長い間 水があったと考えられ 熱水噴出孔は おそらく必要な有機物を含んでおり 生命が存在し得る場所であると 我々は信じています 微生物だけではなく 進化に必要な長い時間があったので もっと複雑な生命がいるかもしれません


これととても似た もう一つの衛星は エウロパです 探査機ガリレオは 1996年に木星の惑星系を訪れ エウロパに対する 素晴らしい観測を行いました エウロパには氷でできた表層部の下に 海があることが知られています ガリレオによる探査で分かったことですが 水柱を発見したことはありませんでした 探そうとも しませんでした


ハッブル宇宙望遠鏡が わずか数年前に エウロパを観測していた時 南半球にある割れ目から水が上昇し 外にまき散らしていることを 発見しました エンケラドゥスと全く同様です


これらの衛星は 太陽系における いわゆる典型的な ハビタブルゾーンに 位置していませんが 液体の水が存在しています さらに有機物があれば 生命が存在するかもしれません


これらは素晴らしい発見といえます なぜなら これらの衛星は 何十億年もの間 このような環境下にあったからです ここ地球で生命が誕生したのは 星の形成の約5億年後のことです そして 今の姿となりました これらの衛星は素晴らしい星です


もう1つの衛星 タイタンを見てみましょう タイタンは土星の巨大な衛星です 惑星である水星よりも ずっと大きいでしょう この惑星は厚い大気で覆われています そのほとんどが窒素で 少量のメタンとエタンが含まれていますが 大気がとても厚いので その下を調べるには レーダーで探査しなければなりません


カッシーニは 表面に液体があることを発見しました 湖が見えます 黒海ほどの大きさを もつものもあります この湖の液体は水ではありません メタンでできています 太陽系に 地球上の生命と異なり メタンのような 水とは異なる 溶媒を有する生物を宿す 場所があるとすれば それはタイタンかもしれません


地球外にも生命はいるのでしょうか? それはまだ分かっていません しかし 我々は熱心に探求しています 受信データは とても興奮するもので 生命の存在について 我々を新しく ワクワクするような 考え方へと導きます 探査は正しい方向に 向かっていると信じています 次の十年間で 答えを見出すことでしょう その結果が出るとすれば 生命がいるという答えであり 生命は太陽系の至る所に 棲んでいるというものです そのように考えてみてください 我々は孤独ではないかもしれません


ありがとうございました


(拍手)


地球外にも生命はいるのでしょうか?NASA(アメリカ航空宇宙局)の惑星科学部門の部門長であるジェームズ・グリーンと一緒に、地球外生命を宿していそうな場所を太陽系内の中で探してみましょう。 ( translated by Tomoyuki Suzuki , reviewed by Masako Kigami )

動画撮影日:2015/11/6(金) 0:00
TED