ここから本文です

トリストラム・スチュアート「世界の食料ムダ捨て事情」

TED 3/17(金) 16:59配信

Tristram Stuart

翻訳

世界の食料ムダ捨て事情を 意識し始めたのは 15歳の時でした サセックスで私は豚を飼い 昔ながらの 環境にやさしいやり方で 彼らを育てたのです 学校の食堂に行っては 食べかすは捨てずに僕に下さい! とお願いし 地元のパン屋に行っては 古くなったパンをもらいました 他にも八百屋に行ったり 農家に行った時には 形やサイズが規格と違うという理由で 捨てられるじゃがいもを もらったりしました 豚は素晴らしい生き物で これらの廃棄食料を おいしい豚肉に変えてくれます 私はこの肉を 学校の友達の家に売り お小遣いの足しにすることに成功しました


しかしそのうち 豚の餌になった廃棄食料の多くは 人間が食べても問題ない ということに気付きました 実はここに始まり 食料生産の元に坂のぼると スーパーや八百屋 パン屋 家庭そして工場でも 農家でも 食べ物がどんどん 無駄にされていたのです スーパーマーケットに至っては 廃棄食料のことを 話すこともためらっていました 裏手には廃棄食料で いっぱいの ゴミ箱があり 埋立地へ運ばれていくようでした そこで私は 食料を捨てるかわりに もっと意味のあることを 出来ないだろうかと考えました


ある朝 私は豚に餌をあげていましたが その時 おいしそうな サンドライトマト入りのパンを見て 「これを豚の餌にしてきたのか...」と思い それを手に取り 豚の隣に座って おいしい朝ごはんをいただきました(笑) これは後に知った フリーガン活動の第一歩でしたが 私がしたことは食料廃棄への抵抗であり 食料廃棄問題に対する 一つの答えでもあります 廃棄されるはずだった食料を ただ食べるという答えです それがきっかけで 私は企業の行う 食料廃棄の問題に直面し さらに 廃棄される食料が 腐ってしまった食料や 食べられないようなものでは ないという事を 明るみに出すようになりました まだ食べられる おいしい食べ物が 大規模に廃棄されているのです


そして私は本を書きました この問題が世界的にどれだけの規模で 起きているかを明らかにするためです このグラフには 食料廃棄の予測量が 国別に示されています 残念ながらきちんとした 根拠のあるデータが存在しなかったので まずはじめにやったのが どれだけの食料が 廃棄されているかを特定する 手法を考えることでした 各国の食料供給のデータと 実際の食料消費のデータを集めて それらを比較することにしました 食料消費のデータは 食料摂取量や肥満のレベルなど どれだけの食料が 実際 人の口に入るかを 推定するデータに基づいて 導き出すことにしました グラフの真ん中にある黒い線は 想定される消費レベルで 避けられない廃棄食料も ある程度 含まれた値です ムダは必然的に発生するもので 実際 全くムダ無しの生活は不可能です しかし この黒い線が 理想的な供給レベルで 安全で安定し 栄養価の高い食事を全国民に 供給するために 必要な量を示しています この線より上の点は 世界ほとんどの国にありますが 不必要な過剰な食料で 各国のムダのレベルを表しています


国が豊かになるにつれて 店やレストランに もっと余分な食料を 置く方針になり ご覧のとおり 多くのヨーロッパと 北米の国々では 国民を養うのに必要な量の 1.5倍から2倍の食料供給をしています 例えばアメリカでは 国民が必要とする 2倍の食料が店の棚に並べられたり レストランで 調理されたりしているということです


しかし この膨大な量のデータから 私が疑問に思ったのは なぜグラフは横ばいになっていくのか ということでした どの国も 供給は必要量1.5倍まで どんどん伸びていきますが そこで安定するのです 以後 続けて上昇していくということは 滅多に ありません これが正しい考察なのか データを更に解析して 確かめることにしました そしてこれが私の結論です もし店で使われる分だけでなく 家畜に与える食料 つまり トウモロコシや大豆 小麦など 人間が食べることもできるけれど 肉や乳製品を生産するために 動物に与えている 食料も含めるとすると 多くの先進国では必要な量の 3倍から4倍の食料を供給していることが グラフからわかるでしょう アメリカの食料供給量は必要な量の 4倍です


2050年までに 世界の人口は90億人になり 全員を養うためには 食料生産を増やさないといけない という話を聞くと いつも私は このグラフを思い浮かべます 豊かな国では 現実と飢餓レベルに かなりの余裕があります これほどの量の食料余剰が発生したことは これまでありませんでした これはある意味 人類文明の成功の証であり 1万2千年に及ぶ農業の 進化の成果であり 人類のサクセスストーリーであると 言えるかもしれません そう サクセスストーリーであると 考えられてきました しかし現在 地球は 限界を迎えつつあるということに 私達は気づかなければいけません 食料生産を促すためだと言って 毎日のように 木を切り倒す 食料生産を促すためだと言って 水源池から水を引いて池を枯らせ 工場から二酸化炭素を排出し そしてその結果得た食料を 捨てているのです まず「何を減らすことができるか」を 考えるべきです


昨日 私は家の近くの スーパーマーケットに行ってきました そこは私がよく行くところで 彼らが何を捨てているのか 調べることができます そこで私はフルーツや野菜が 捨てられている中に 大量のビスケットを 見つけました 私は これで今日の状況を 表してみようと思いました


私がゴミ箱の中でみつけたビスケットが 世界の食料供給を表していると考えてください いいですか? はじめは9枚です これが 世界中で1年間に生産される 食料がだと考えます 1枚目は農場から出荷される前に 消えてしまいます これは主に未発達な農業技術のせいです インフラの整備や 冷蔵技術 低温殺菌 穀物の貯蔵 フルーツの箱詰めなどの 関連技術が未発達であれば 市場に出せない食料は 農場を離れる前に捨てられることになります 次の3枚のビスケットは人間が食べるのではなく 家畜に与えるトウモロコシや小麦 大豆などです 残念ながら家畜はエネルギー効率が悪いので 食べた食料の3分の2のエネルギーは 糞になったり熱として消費されたりします なので2枚は家畜が消費し 手元には肉や乳製品の形で 1枚だけ残ります 次の2枚は直接ゴミ箱に捨てられます これが食料廃棄と聞いて みなさんの頭に浮かぶものです 家庭やスーパーのゴミ箱 レストランのゴミ箱などに 捨てられる食料です こうして2枚を失い 私たちが食べられるビスケットは わずか4枚になりました これでは地球上の資源を 有効に活用しているとは言えませんよね 特に今日 何十億もの人が飢餓に苦しんでいるのに このままでいいのでしょうか


データを整理した後に私がしたことは これらの廃棄食料が どこに行っているのかを示すことでした 食卓に並べられることのなかった 廃棄食料は どこに行ったのでしょう?


では まずスーパーマーケットから始めてみましょう するべきことは 私の大好きな ゴミ箱調査です(笑) 何でこんな事をするのかと 思われるでしょうが お店の裏で何が行われているのか 会社側が正直に話してくれれば こそこそと裏手に回ってみて ゴミ箱を開けて 中を調べる必要はありません でもこれが ヨーロッパ そして北米での 街角の光景です これは食品の大量廃棄の様子です ただ 本を書きながら気付いたのです これはまだ大規模な食料廃棄問題の 氷山の一角にすぎないのです どんどん生産元へとさかのぼっていくと 食料廃棄がさらに大きな規模で 起こっていることが わかったのです


すみませんが 家に食パンがある人は 挙手をお願いできますか? そして家でその食パンの両端の 焼き色のついた部分まで 食べているという方は どれだけいるでしょうか? 全員ではなくとも多くの人が 食べているようですね 嬉しいことに これは 世界中どこでも共通です では スーパーマーケットやパン屋さんで 食パンの端を使ったサンドイッチを 見たことはありますか?(笑) ありませんよね そこで私は 端っこはどこに行ったんだ? と考えました(笑) 残念ながらこれが答えです この工場だけで 1日に1万3千枚もの 作りたてのパンの端が捨てられているのです この工場を訪れた2008年 パキスタンでは飢餓が起きていました 世界の食料が豊かな国に 集中しているからです イギリスなどの豊かな国が まだ食べられる食料を 廃棄しているからです 飢えている人たちの食べ物を 日々奪っているのです


さらに生産元をさかのぼると 農家にたどり着きます 農家は3分の1 以上の収穫物を 見た目が悪いとして廃棄しています この農家は1万6千ポンドものお金を投資して ほうれん草を育てましたが 葉っぱ一枚も出荷できませんでした 中にほんのちょっと 雑草が混じってしまったからです これらのジャガイモは 見た目が良くないという理由で すべて豚の餌になります このパースニップという根菜は スーパーマーケットに出荷するには小さすぎ テネリフェのトマト フロリダのオレンジ エクアドルのバナナ これは去年訪れた農家です これらはすべて廃棄されます これはエクアドルの 1つのバナナ農家が 1日で廃棄するバナナです 全て廃棄されます 食用として全く問題なく 形や大きさが 規格に合わないというだけでです


また 果物や野菜と同じように 動物でも同じ事をしています 肝臓 肺 脳 しっぽ 腎臓 睾丸 昔はこれらすべては食料であり おいしく栄養価の高い部位なのですが 今では廃棄処分されています イギリスやアメリカでは 過去30年で動物の臓器の 消費量は半減しました その結果 せいぜい犬の餌になるか そうでなければ 焼却処分されます この男性は中国西部の 新彊州の喀什という町の人ですが 私に伝統料理を振る舞ってくれました それは羊の臓器です とてもおいしく 栄養価が高く これは喀什に行って知ったのですが 羊の臓器の料理は 食料を無駄にしない精神の象徴だそうです また 道端のレストランでは 食後にシェフと話していると 会話の途中 彼は急に話すのをやめ 私の食器をみて怒り始めました 私は 何か礼儀に反してしまったのか? 何か彼を怒らせてしまったのか? と考えました 彼は食器についた 3粒のご飯粒を指さしてこう言いました 「まだ残ってる」(笑) 「ああ 世界中の 人々に 食料のムダを減らすよう言ってきたのに この男は私の上をいってしまった!」 と思いました(笑)


このことから私が学んだのは 私たち人間は この食料資源の無駄をやめる力を持っていて この大規模食料廃棄が社会的な悪であると 認識することが出来 企業に向けて あるいは政府に向けて 食料廃棄に反対だと抗議することが出来れば 現状を変えられるのです


ヨーロッパでは40から60%の魚が 陸にあげられる前に廃棄されています 家庭では食べ物に接する機会が減りました これは私がレタスでした実験です レタスを冷蔵庫で保存している方はいますか? ほとんどですね 左のレタスは 10日間冷蔵保存したものです 真ん中はテーブルに置いたもので 左と変わりません 右のレタスは切り花のように 世話をしたものです レタスも生きているので 水切りをし 水につけておいたら この後2週間 鮮度を保ち 食べられました


先程も言ったように ある程度の食料廃棄は 避けられないものです ではどうすればいいのでしょうか 答えは15歳の私が出しています いえ 人間は6000年も前から その答えを知っていたのです 豚を飼って 食料のムダを再利用できればいいのです しかし ヨーロッパでは2001年の 口蹄疫の流行以来 そのような行為は禁止されています 科学的ではないし 必要のない措置です 人間のご飯と同じように豚のご飯も きちんと調理すれば まったく安全ではないですか 結果的に資源を大幅に 節約することにもなります 現在 ヨーロッパは何百万トンもの 大豆を南米から輸入しています 南米の農家は地球温暖化を加速させ 森林をなくし 生物多様性を減らして ヨーロッパの家畜を養っているのです 一方で私達は 何百万トンもの食料を廃棄しています その食料で自分たちの家畜を 養うこともできるのに です もし豚を飼い 廃棄食料を飼料にすれば 二酸化炭素も増えません 政府が気に入っている 廃棄食料削減の方法に 政府が気に入っている 廃棄食料削減の方法に 廃棄食料を微生物に分解してもらい 発生するガスから発電する というのがありますが これでは廃棄食料1トンあたり たった448kgの二酸化炭素しか 削減できません 豚にあげたほうがはるかに効率的です 第二次世界大戦中には きちんとやっていました(笑)


嬉しいことに 人々は食料廃棄問題に対して 世界中で取り組み始めています Feeding the 5000というイベントは 2009年にスタートし 廃棄されるはずだった食料を 5000人に食べてもらう イベントです 廃棄されるはずだった食料を 5000人に食べてもらう イベントです その後 再びロンドンで開催され 現在では国境を越え 世界中で開かれています これは食料に対する意識を変える 一つの方法です まずすべきことは 食べ物を 捨てるのではなく食べる そして楽しむことです 私達の地球のために 未来を生きる子供たちのために そのほか地球に暮らす すべての生き物のために 地上で暮らし 食料を食べて生きる 私達人間は だれも食べない食料をつくって 大事な土資源を無駄にしてはいけません 食べ物のムダは やめましょう ありがとうございました(拍手) (拍手)


先進国は生産した食料の半分近くを廃棄しています - 理由は「食べられない」から?いいえ、「見た目が悪い」からです。トリストラム・スチュアートは食料廃棄に関する驚くべきデータを基に、資源の責任ある使い方を呼びかけます。 ( translated by Mizuhiro Suzuki , reviewed by Shogo Kobayashi )

動画撮影日:2012/5/10(木) 0:00

TED