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ブライアン・デットマー: 古びた本が繊細なアートに生まれ変わる時

9/11(月) 17:09配信

TED

Brian Dettmer

翻訳

私はアーティストで 本を彫っています これは初期の作品です 題名は『知識に至るもうひとつの道』です 本を重ねて 人がギャラリーに入ってきた時に ただ本が積んであるように 見せたかったのです でも近づいていくと 荒々しく穴が掘ってあるのが目に入り 起きた事や その理由に思いを巡らせ この本の材質について考えます 私は質感に関心はありますが 本の中にある文章や図版は さらに面白いと思います


私は ほとんどの作品で 本の外側をニスでしっかり固めます ニスが表皮のようになるため 本は固い素材になりますが 中のページはバラバラのままです 次に本を表面から彫っていきます 何も ずらしたり 付け加えたりしません ただ面白そうなところを 彫っていくだけです 完成した作品にあるものは全部 ― 私が手を加える前の 状態のままです


私の作品は いわばリミックスのようです DJが他人の音楽を元に 作品を作るように 私も他人のものを 素材にしているからです これはルネサンスの画家 ラファエロの画集でしたが 彼の作品を取り上げ リミックスして 彫っていくことで より新しく より現代的に仕上げています また 伝統的な 本の枠組みから飛び出して 時系列に沿った形式を拡張し 本自体の構造を拡張して 完全に彫刻作品に しようと試みています


私はニスをかける前に 固定するための 万力やロープや あらゆる素材の重しを 使うことで 始める前に形を決めます そうすることで こんな形のものを このような作品にできるのです ちなみに これは1冊の 辞書で出来ています これは ― こんな作品になります このような ― 何になるか見当もつかず スタジオにある理由すらわからないものが こういう作品になるのです


本を破壊することに 人々が動揺したり 本を破りたくないと感じたり 捨てようと思わない理由は 本が生き物であり身体であると 私たちが捉えているからです 本はサイズに関しては 人間の身体に合わせて作られていますが 本には 成長し続け 次々と新しくなっていく 力が備わっています だから本は生きているのです だから私にとって 本は身体であり テクノロジーです 本は道具でもあります 同時に機械でもあります 本は 風景であるとも言えます これは百科事典を全巻 連結してヤスリがけしたもので 彫り進めながら 残すものを決めていきます 百科事典ですから 何を選んでもよかったのですが 風景の図版を選ぶことにしました これを素材にして サンドペーパーを使い 角を丸めることで 図版だけでなく 素材自体が風景のように見えてきます


さて 私が本を彫り進める時には 図版だけでなく 文章にも注目していて どちらも同じように捉えています 面白いことに 私たちが読む ― 文章や本は 頭の中でイメージを生み その断片が記憶されます つまり 私たちは文章を読みつつ イメージを生み出し イメージを見つつ 見たものを理解するために 言葉を使うのです そこで ある意味 陰陽のような 反転が起こります 私は観客が自分自身で完成させるような 作品を作っているのです


また私は自分の作品を考古学に 近いものと捉えています 私が発掘して 素材の力を最大限まで引き出し 出来る限り多くの発見を 作品の中で明らかにしようと しているのです その一方で 「消去」について考えています 私たちの情報には ほぼすべて 実体がありません そして「喪失」という概念 これは 情報の形式がコンピュータの内部で 刻々と変化することだけでなく 情報自体を失わないためには 物理的なバックアップがないので 常にアップデートし続ける 必要があるという考え方です 私はスタジオに辞書を 何冊か置いていますし コンピュータも毎日使います 言葉を調べたければ コンピュータを使います 調べたいことが ダイレクトに しかも瞬時にわかるからです 時系列に沿わない情報には 本は最適な形式ではないでしょう だから 辞書や事典などが 私たちの前から真っ先に 姿を消す本になるのです


だからといって本が 完全に消えるとは思いません デジタル技術のせいで 本は姿を消すと 考える人もいますが 私たちの目の前では 物事が変化し 進化しつつあります 私は本も進化すると思います 写真と印刷技術が 日常のものになった時代に 「絵画は消える」と言う人が いたのと同じです でも実際には 写真や印刷は 絵画を雑事から解放したのです そのおかげで絵画は 話を伝えるという雑用から解放され 自由になって 独自の物語を 語れるようになりました まさにその時 モダニズムが出現し 絵画は別の方向へ歩んだのです 同じことが今 本にも起こっています ほぼすべての テクノロジーや情報や 個人的あるいは文化的な記録が デジタルで記録されるおかげで 本は新たなものになれると思います だから私たちアーティストにとって 現代は面白い時代ですし 未来の本がどうなっていくのか 本当に楽しみです


ありがとう


(拍手)


この情報化の時代に、時代遅れの百科事典など何に使うのでしょう?アーティストのブライアン・デットマーは、デザインナイフと優れたリミックスを見分ける眼を活かして、古い本に新たな命を吹き込み、美しく、意表をつく彫刻作品を作っています。 ( translated by Kazunori Akashi , reviewed by Moe Shoji )

動画撮影日:2014/11/4(火) 0:00
TED