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ジーア・ガフィック: 身の回りの品に隠れた悲劇の歴史

2/9(金) 11:49配信

TED

Ziyah Gafić

翻訳

これらは 何てことのないモノです 時計 鍵 クシ 眼鏡 それらはボスニアの大虐殺の犠牲者たちのもので 最期まで身に付けられていたものです これらのありふれた 日々の暮らしのモノは 私たち皆にとってお馴染です 犠牲者の所持品の中には 個人的なモノ- 歯磨き粉や歯ブラシといったものがあり 迫り来る影について 全く心積りもなかったことが 明らかに示されています 大抵は 彼らは戦争の捕虜と 交換されるだろうと告げられました これらの品は私の祖国中の おびただしい数の墓から回収され このように 戦争から20年後 科学捜査により 新たに発見された大きな墓から 遺体が発掘されています そして おそらくこれまでで最も大きいものです 90年代初め 4年の戦闘の間に 荒廃したボスニア連合では 約3万人の市民  主に民間人が行方不明となり 彼らは殺されたと推定されています さらに10万人が 戦闘中に殺されたのです 彼らの殆どは 戦争の初期か スレブレニツァなどの 国連の安全地帯が セルビア軍の手中に落ちた 交戦の末期にかけて殺されたのです 国際刑事裁判所は 人権に反する犯罪や集団虐殺に対し 数多くの刑を宣告しました 集団虐殺は組織的で綿密な 人種 政治 宗教 あるいは民族集団の 大量殺人です 集団殺戮が殺人であるのと同様に それは財産を 文化的な遺産を そして究極的には それらが存在していたという観念そのものを 破壊することなのです 集団虐殺は殺すことだけではなく 個の尊厳の否定でもあるのです 完璧な犯罪などというものはなく いつも痕跡があります 非業の死の遺物- 脆く はかない遺体よりも 私たちの手前勝手で やがて薄れゆく記憶よりも 「確かな遺物」があるのです これらの品々は あまたの集団墓地から発掘され 品々の回収の主な目的は ホロコースト以来 ヨーロッパ大陸初の 殺戮の最中に 姿を消した人の身元を特定する 独自の手順なのです 全ての遺体は発見され 身元が特定されるべきなのです 一旦回収されると 犠牲者が処刑の際に身に付けていた これらの品々は 丁寧に洗浄し 鑑定され 目録管理されます 数千もの芸術品がCSI(科学捜査)で 観たことがあるような 白いポリ袋に詰められています これらの品々は法廷で 犠牲者の視覚識別に使用されますが 戦闘中の戦争の犯罪審理においても 非常に貴重な 法的証拠として使用されます 生存者は時折 これらの品を立ち合いで 特定するために呼ばれますが 物理的な視認は非常に難しく 非効率で辛いプロセスです 科学捜査と医者と弁護士が 一通り検品を終えると それらの品々は物語のみなしごとなるのです 信じられないことに 多くは壊されるか 無造作に棚にしまわれ あっという間に忘れ去られます 数年前 生存者が楽に閲覧できるように 発掘された全ての品の ビジュアルアーカイブを 私は作ることにしました 物語の語り部として 社会に恩返ししたいのです 注意喚起以上のことをしたいのです 誰かしら これらの品に見覚えがある という場合もあり得ますし 少なくとも写真は 起きたことの 歴とした忘れ形見として 未来永劫 偏見もなく残るわけです 写真は共感についての何かであり これらの品に親しみがあれば 共感を呼び起こします ここでは 写真家の私はいわば 科学捜査のツールに過ぎませんが 成果物の写真は 公文書と 同じように語ってくれるものなのです 行方不明者全ての身元が判明すると 墓の中は腐り行く遺体だけとなり これらの日用品は残存していくでしょう 地味ながらも これらの品は個々の犠牲者の 最後の証しなのです 最後の永遠の忘れ形見 これらの人々がかつて存在していた証し- ありがとうございました (拍手)


ジーア・ガフィックは、時計や靴、メガネなどの日用品を写真に撮ります。これらの写真は一見何ということもないものです。しかし、実は被写体の品々はボスニア戦争の集団墓地から発掘されたものなのです。サラエボ生まれで TEDフェローでもあるガフィックは、亡くなった人々を特定しうる形見の品物の生きたアーカイブを作るべく、これらの墓から掘り出された全てのものを写真に撮り続けてきました。 ( translated by Masami Hisai , reviewed by Wen Chen )

動画撮影日:2014/3/17(月) 0:00
TED