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ラメッシュ・ラスカー: 毎秒一兆枚の高速度カメラ

4/10(火) 16:34配信

TED

Ramesh Raskar

翻訳

エジャートン博士の リンゴを撃ちぬく弾丸の写真は 100万分の1秒を捉えたもので 誰もが驚き 好奇心をかき立てられました そして今 50年を経て 撮影速度が その100万倍も速くなり 100万でも 10億でもなく 毎秒1兆フレームで 世界を見られるようになりました


ご紹介するのは新しい撮影技術 フェムト・フォトグラフィーです この非常に高速な 新しいイメージング技術では 伝わっていく光でさえも スローモーション撮影できます またこの技術を使って 見通せない角の 先を見られるカメラや X線を使わないで 体内を観察できるカメラを作れます カメラという言葉の意味が 大きく変わるのです


レーザーポインターを点滅させるとしましょう 1兆分の1秒で点滅させれば つまり数フェムト秒の間隔なら 生じた光子の塊の長さは ほんの1ミリ程度になり この光子の塊 すなわち弾丸が 光の速度で進みます これは普通の弾丸より 100万倍速いのです そんな光子の塊という弾丸を使って ボトルに打ち込んだら 光子はどんなふうに砕け散るでしょう スローモーションの光は どう見えるでしょう


そしてお見せしたー(拍手) (拍手)


お見せした全ての事象は ナノ秒より短い 時間で起きていることを念頭にご覧ください 光が通過する時間が ナノ秒以下なのです このビデオは100億倍遅く再生しているので 光の動きが見えるのです


ちなみに コカコーラからのご支援は頂いていません (笑)


ビデオでは色々な事が起こっています 何が起きているか順に説明しましょう パルスすなわち弾丸がボトルに入ります 光子の塊が横切り始めると 内部での散乱も始まります 漏れだす光もあり テーブルを照らします そしてさざ波のようなものも見えます 最終的に大半の光子がキャップに到達して あらゆる方向に飛び散ります 空気の泡も見えますが そこでは内部に跳ね返ります 同時にテーブル上の波も広がっていきます 上面での反射のために 何フレームか後にはボトルの底側に 反射光が集まります


普通の弾丸を撃って 同じ距離進む映像を撮って 100億倍でスロー再生したら どれほど時間のかかるビデオになるでしょう 一日?一週間?実はまる一年もかかります かなり退屈な映像でしょう (笑) 普通の弾丸がゆっくりと動いていくのです


こんな静物の写真を撮ってみました


テーブル表面やトマトや後ろの壁を 流れるさざ波が見えます 池の水面に石を投げ込んだみたいです


フェムト秒で撮った写真を 自然はこう彩るのかと驚きました もちろん人の眼には 統合された合成画像が見えます ただもう一度トマトを見てもらうと トマトが光に洗い流されている間 光り続け 暗くなることはありません なぜでしょう それはトマトが熟していて 光はトマトの内部で反射を繰り返し 一兆分の数秒で外に出てくるからです 将来このフェムトカメラが 携帯電話に付いたら スーパーに行って 果物が熟しているかどうか 手も触れずに調べられるでしょう


MIT の私のチームはどうやって このカメラを作ったのでしょう 写真を撮る人はご存知のように 露出時間を短くすると 光の量は大変少なくなります さらに 通常の短時間露光よりも 百億倍以上速くしようというのです だから光はほとんどありません 我々は光の塊の弾丸を 何百万回も発射します 非常に巧妙に 同期を取りながら記録を繰り返し 何ギガバイトものデータから 計算によって織り出される物が 先ほどご覧になったフェムトビデオです


処理前のデータをいろいろ使って 非常に興味深い処理もできます スーパーマンは空を飛び 透明になるヒーローもいます これからのスーパーヒーローの新しい能力として 角の先を見通すのはどうでしょう このアイデアは扉を照らした光が 跳ね返って部屋の中に入ると その一部が反射されて扉に戻り カメラまで戻ってくるので こんなふうに多重反射した光を利用できるのです


これは空想SFではなく実際に作りました 左にあるのがフェムトカメラです 壁の後ろにマネキンが隠れています 光は扉で跳ね返ります


我々の論文がネイチャー・コミュニケーションズ誌に 掲載された後で ネイチャーのサイトで特集され こんなアニメーションを作ってくれました


(音楽)


光の弾丸を発射するところです 壁に当たります 光子の塊は あらゆる方向に飛び散り 隠れたマネキンに当たる光子もあります そのマネキンがまた光を散乱させ そして再び今度は扉が 散乱光の一部を反射します 光子のほんの一部が カメラに戻ります 大事なのは 光が帰ってくるタイミングが 少しずつ違っていること (音楽)


使用したカメラは 大変高速なフェムトカメラなので 独特な能力があります 時間分解能が大変優れていて 世界を光の速度で眺めることができるわけです こうして 扉までの距離や 隠れた物体までの距離がわかります こうして 扉までの距離や 隠れた物体までの距離がわかります ただどの点が どの距離に相当するのかわかりません (音楽)


レーザー光を一度光らせて 未処理写真が一枚撮れますが これだけ見ても 何だか分かりません しかし こういう写真をたくさん撮って こういう写真を何十枚も 組み合わせ 光の多重散乱の解析を試みれば そこから 隠れた物体を見られないでしょうか? 完全な立体として見ることはできないでしょうか?


我々が再構成した結果はこうなりました (音楽) (音楽)(拍手)


この技術を実験室の外に持ち出す前に まだやるべきことはありますが いずれは 曲がり角の先の物との 衝突を避ける自動車や 危険な状況下での生存者探索に 開いた窓ごしに反射されてくる光を使ったり 体内の見通せないものの奥まで見られる 内視鏡や血管内視鏡も 作ることができるでしょう もちろん 細胞や血液があるので これは大変に難しい課題ですが 科学者の皆さんに考えはじめて欲しいことは 新しいイメージング手法のフェムト・フォトグラフィーで 次世代の医療イメージングの答えになる可能性です


科学者であったエジャートン博士が 科学から超高速写真という芸術を生み出したように 私も実験のたびに集まる 数ギガバイトのデータを使って 単に科学的な画像を作るだけでなく 新しい形のコンピュテーショナル・フォトグラフィが 微速度撮影や色変換によって 実現できると気が付きました さっきの波模様を見てみましょう この波どうしの時間差は 一兆分の数秒ほどです


ここで面白いことが起きています キャップの下側を見てみると 波は遠ざかるほうに進んでいます 波は近づいてくるはずなのです 何が起きているのでしょうか


実は 光の速度に 近い領域で記録したために 奇妙な効果が現われたのです アインシュタインはこの写真を見たかったことでしょう カメラに見える世界の中で起きる 出来事の順番はときどき逆転し 適切な時間と空間の歪みを考慮することで この歪みを補正することができます


角を見通す写真であれ 次世代の医用画像であれ 新たな可視化技術の開発であれ 我々は発明した後は オープンソース化して 全てのデータと詳細をウェブに公開しました もの作り好きやクリエイターや 研究者からの こんな提言を期待しているのです カメラの画素が何メガピクセルかに こだわるのは止めよう (笑) イメージングについては 新たな次元にフォーカスしよう 「時」を考える 「時」になったのです ありがとう (拍手) (拍手)


ラメッシュ・ラスカーはフェムト・フォトグラフィーを紹介します。この新しいイメージング技術は毎秒一兆フレームの高速度撮影技術なので光の動いていく様子も見えるのです。この技術は将来、角の向こうを見通すカメラや X 線を用いないで体内を観察できるカメラに使われるかもしれません。 ( translated by Natsuhiko Mizutani , reviewed by Akiko Hicks )

動画撮影日:2012/6/28(木) 0:00
TED