ここから本文です

シモーン・イェッツ: 役立たずなものを作る理由

6/13(水) 9:51配信

TED

Simone Giertz

翻訳

こんにちは シモーンです 人前であがったときには 聴衆がみんな裸だとイメージすると いいって言いますよね そうしたら気持ちが楽になると でも 2018年にもなって みんなが 裸のところを想像するというのは 変だし間違っている気がします そういうのを乗り越えようと みんな苦心しているわけで 人前であがることに対処する 新しい方法が必要でしょう 皆さんが私を見るように 私も皆さんを 見ることができたら 少し公平になるかなと 気付きました 私にもっと たくさんの目玉があれば みんな良い感じに なれるんじゃないかと それで今日のために 服を作ってきました


(ジャラジャラ)


(笑)


動眼(オモチャの目玉)で できています この服を作るのに 14時間と 227個の動眼を 使いました 皆さんが私を見るように 私も皆さんを見たいというのは これを作った理由の半分で あとの半分は これがやりたかったんです


(服をジャラジャラ鳴らす)


(笑)


私はこんなことを よくやっています 何か問題を見付けると ある種の解決法を発明するんです たとえば歯磨きです みんな やらなきゃいけないけど 退屈だし 歯磨きが好きな人はいません もし客席に7歳児がいたら 熱烈に賛同することでしょう そこで歯磨きを代わりにやってくれる 装置があったらどうか?


(笑)


私はこれを― 「歯磨きヘルメット」と呼んでいます


(笑)


(ギシギシというロボットアームの音)


(笑)


(拍手)


この歯磨きヘルメットは 歯科医10人中0人が推奨しておりまして 歯科衛生の世界を 変革することはありませんでしたが 私の人生をすっかり 変えることになりました 3年前に歯磨きヘルメットを 作ったとき 居間にカメラをセットして その動作する様子を 7秒のビデオに収めました 現代版おとぎ話として 今では普通のことに なりましたが 女の子がネットに 何か投稿すると 嵐のように 何千という男性が コメント欄に押し寄せ プロポーズしてきます


(笑)


女の子はそれを無視して YouTubeチャンネルを始め ロボットを作り続けます それ以来 私はこの 「役立たずな機械の発明家」という ニッチを開拓してきました 皆さんご存じのように 何かの分野で 頂点に立とうと思ったら ごく小さな分野を 選ぶことです


(笑)


(拍手)


私は自分の発明品を紹介する YouTubeチャネルを持っていて これまでに作ったものには 散髪するドローンだとか―


(唸るドローン)


(笑)


(衝突音)


(笑)


(唸るドローン)


(笑)


(拍手)


朝起こしてくれる 装置もあれば―


(目覚まし音)


(笑)


うわーっ


野菜切りマシーンもあります


(トン トン トン)


私はエンジニアではなく 工学について 学校で習ってはいませんが すごくやる気に あふれた生徒でした 中学や高校では 成績がオールAで 主席で卒業しました その反面 人の目をすごく 気にしていました これは当時 私が兄に宛てて 書いたメールです 「このことを打ち明けるのが どんなに難しいか 分からないよね 恥ずかしくて死にそう みんなに馬鹿だなんて 思われたくない 涙が出て来た ああ」 別に実家を火事にした わけじゃありません このメールで書いている すごく恥ずかしいことというのは 数学の試験で Bを取ったことなんです


この2つの時点の間で 明らかに何かが起きたということです


(笑)


思春期というのは その1つです


(笑)


実に素晴らしい時期です しかしそれ以上に 私はロボットを作ることに 興味を持ち ハードウェアについて独学した ということがあります ハードウェアを作るというのは とくに独学でやるのは すごく難しいことです 失敗する可能性が高く そのため 自分が馬鹿のように感じる 可能性が高いのです そして当時の私にとって それは最大の恐怖でした それで私は成功が100%間違いなしという やり方を考え出しました そのやり方なら 失敗するのは ほぼ不可能です 成功させようと するのではなく 失敗するだろうものを 作ることにしたのです 当時は気付いて いませんでしたが 馬鹿なものを作るというのは 実際うまいやり方で ハードウェアについて 学びながら 私の人生において初めて 自分の不安を気にかけずに 済んだのです 自分に対するプレッシャーや 期待を取り除くやいなや 熱意がプレッシャーに 取って代わり 純粋に楽しむことができました


私は発明家として 人々が困っていることに 関心があります それは小さなことも 大きなことも 中くらいのこともあります TEDトークをする というようなことは 取り組める様々な問題を 提示してくれます 問題に気付くというのは 役立たずな装置を作る 私のプロセスの第一歩です ここに来る前に トークの最中に 直面しうる問題は何かと 腰を据えて考えてみました 言うことを忘れるとか 聴衆が笑ってくれないとか― 皆さんのことですよ さらに悪く 違う部分で笑われるとか― 皆さん正しいところで 笑ってくれています どうもありがとう


(笑)


あるいは緊張して 手が震え出すとか― これは自分で すぐに気付きます あるいはまた チャックが開いていて みんな気付いているのに 自分では気付かずにいるとか でも閉まっているので この点は大丈夫そうです


私が本当に不安なのは 手が震えることです 子供の頃のことですが 学校で発表をすることになり メモの紙の後ろに ノートを置いて 紙を持つ手が震えているのが みんなに見えないように したのを覚えています 私は講演をよくします ここにいる人の半数は 思っていることでしょう 「役立たずな装置を作るのは 楽しいだろうけど それがどうビジネスになるのか?」 講演をするというのは その一部です 喉が渇いたときに 飲めるよう 運営の人がいつも 水のコップを置いていてくれます 私はいつもすごく 水が飲みたくなりますが 手が震えているのを 見られたくないので コップを手に 取ることができません コップの水を手渡してくれる 装置があったらどうでしょう? 動眼シャツの内気な女の子には 良いアイデアに思えました


これを先に 脱いでしまう 必要があります


(ジャラジャラ)


やばっ


(カチン)


(笑)


これを何と呼ぶべきか 分かりませんが 「首軌道周回装置」とでも 申しましょうか この台が頭の周りを回転し いろいろ載せられる ようになっています カメラを置いて 頭全体を 撮影することだってできます すごく多用途な装置なんです


(笑)


なんだったら お菓子を 置くことだってできます ポップコーンを 持ってきました こんな風に置きまして― 床にちょっと 落としちゃいましたが 科学のために 犠牲は付きものです 回転させましょう


(機械の作動音)


(笑)


小さな手が付いています 高さの調整をするには ちょっと肩をすくめるだけです


(笑)


(拍手)


小さな手を起動します


(パシッ)


(笑)


(拍手)


マイクが吹っ飛ばされましたが 取りあえず 上手くいきました ポップコーンを 食べてしまうので 皆さん もう少し 拍手でもしていてください


(笑)


これは自分用の 太陽系みたいなものです 私は新世紀世代なので 自分が物事の 中心にいたいんです


(笑)


コップの水を試しましょう それが元々やりたいことでした ただし水は入っていません すいませんが この機械はまだ未完成で 自動的にコップを取って 台に乗せるようにしなきゃいけません でもたとえ手が 震えていても この幻惑的な装置を 身に付けていれば 誰も気付かないでしょう


だから問題ありません いきます


(機械の動作音)


(変な歌)


あっ 引っかかった 機械でも あがるというのは ほっとしませんか ちょっと つっかえたりして すごく人間的です 少し位置を戻して せーので


(逆回転した手で はたき落とされるコップ)


(笑)


素晴らしい時代だとは 思いませんか?


(笑)


(拍手)


私の装置は工学的ドタバタ喜劇 みたいものかもしれませんが そこには もっと大きなものが あることに気付きました 工学では見落とされがちな 喜びや謙虚な気持ちの表現がここにはあり 私にとっては 不安に妨げられることなく ハードウェアについて 学ぶ方法だということです 役に立つものも作ろうと思うか 聞かれることがあり いつか作るかもしれませんが ある意味 私はすでに作っています 私は自分の仕事を 生み出していて これはまったく 計画したことではなく―


(拍手)


これはまったく 計画したことではなく ただ自分のやっていることに 夢中になり その熱意を他の人にも 伝えたことの結果です それが役立たずなものを作ることの 素晴らしいところで 最善の答えが何か 必ずしも分かっていないと 認めるということなんです 世界がどうなっているのか 分かっているという 頭の中の声を切るんです 歯磨きヘルメットは 答えではないかもしれませんが 少なくとも疑問を 呈してはいるのです


ありがとうございました


(拍手)


素晴らしく突飛な創作品が披露されるこの心温まる楽しい講演で、シモーン・イェッツは役立たずな装置を作ることについて語ります。彼女の発明品は、野菜切り機にせよ、散髪マシーンや口紅装置にせよ、上手くいくことは(あったとしても)めったにありませんが、そこにこそ意味があります。彼女は言います。「役立たずなものを作ることが素晴らしいのは、最善の答えが何か必ずしも分かっていないと認める点にあります。世界がどうなっているのか分かっているという頭の中の声を切るんです。歯磨きヘルメットは答えではないかもしれませんが、少なくとも疑問を呈してはいるのです」 ( translated by Yasushi Aoki , reviewed by Tomoyuki Suzuki )

動画撮影日:4/10(火) 0:00
TED