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ライアン・ホラデイ: 今そこにしかない音楽

10/10(水) 17:58配信

TED

Ryan Holladay

翻訳

(音楽) ニューヨークのマンハッタンに行ったことのある人なら この場所は ご存じと思います セントラルパークです アメリカで最も美しい 公共空間の 1つです しかし 実際に訪れたことのない人にとっては この映像では その素晴らしさを十分伝えられないでしょう セントラルパークを本当に理解するには 実際に足を運ばなければなりません それは音楽でも同じです 私たち兄弟は セントラルパークでしか聴けない 音楽を制作しました (音楽)


今日は 私たちのプロジェクトについて 少しお話ししたいと思います 私たち兄弟です 2人一緒に写っていますが これまで何年か 私たちは位置認識を使った音楽という アイデアを発展させてきました


私たち兄弟はミュージシャンです プロデュースもやっています 子供のときから ずっと一緒に 色々なことをやってきました 最近はアートとテクノロジーを融合させる プロジェクトに大きな 興味を持っています 場所に固有のオーディオと ビデオのインスタレーションや インタラクティブなコンサートなどです


今日は 特定の空間に合わせた楽曲という 概念について説明します


細かいことを説明する前に このアイデアを思いついたきっかけを 説明しましょう 私たち兄弟はマンハッタンに住んでいたときに アーティストのクリストとジャンヌ=クロードが セントラルパークで行った「ザ・ゲート」という インスタレーションを体験しました このような明るい色をした無数の展示物が 何週間かセントラルパークに展示されました それはギャラリーや美術館の展示物とは まったく違っていて いつもの見慣れた空間が 別のものになっていました それはセントラルパークという場所でしか体験できない アートでした 色々な意味において「ザ・ゲート」は フレデリック ・ オルムステッドが 設計したセントラルパークに新しい意味を与えたのです このときの経験は忘れられないものでした それから何年か後 ワシントン DC に移った私たちは 色々と考えました 「ザ・ゲート」がセントラルパークという 場所で実現したのと同じ方法で 特定の場所でしか体験できない音楽を作ることは 可能かと思うようになったのです その結果が これです


(音楽)


5月に 新たな位置認識アルバム 「ナショナル ・ モール」をリリースしました これはモバイルアプリとしてリリースされ デバイスに搭載されたGPS機能を使用して ワシントン DC の象徴である この国立公園全体の それぞれの場所にマッピングされています 何百もの楽曲部分が公園全体で 地理的にタグ付けされているので リスナーが公園内を移動するのに合わせて 楽曲が変化していきます ですから プレイリストや従来のアルバムとは違い この公園でしか体験できない音楽です これはリスナーの移動に合わせて 個々のメロディーやリズムが パズルのピースを組み合わせるように 継ぎ目なくブレンドされます ですから曲の構成は リスナーごとに異なります


詳しく説明しましょう デモを用意してきました アプリを使用して ワシントン・モニュメント付近に向かって 歩いて行くと ウォーミングアップの楽曲が聞こえてきます それからシンプルなメロディーを奏でる メロトロンになり バイオリンの音が重なります 歩き続けるとコーラスが加わります 最後に丘の頂上に辿り着くと ドラムと花火の音が聞こえて クライマックスを迎えます すべての音はナショナル・モールの中心にある この巨大なモニュメントから放射状に 広がる形で構成されています 逆の方向に歩くと このシーケンスは逆の順序になります 公園を出てしまうと 音楽がフェードアウトして終わります この時に再生ボタンが消えます


他の場所に住んでいて アメリカまで行けないという人から このアルバムを聴いてみたいという 問い合わせがくることもあります しかし 通常のアルバムとは違って そのようなリクエストには応えることができません CD や MP3 バージョンのリクエストもありますが 残念ながら それも無理です その理由は これが通常のレコードの プロモーションを目的としたアプリや ゲームではないからです この場合 アプリは作品そのもので その場所の風景が 音楽体験の一部になります


6ヶ月後 私たちはセントラルパーク用の 位置認識アルバムを作りました 広さはナショナル ・ モールの2倍以上で 音楽はセントラルパークのこちら側から 向こうの端までに広がっています


現在 私たち兄弟は 全米各地でプロジェクトを行っていて この春に新しいプロジェクトとして このスタンフォード大学の メディア芸術学部で 今までで最大の位置認識アルバムを制作しています これは太平洋岸を走る長大なハイウェイ1号の 全線を網羅する予定です


私たちがやっている GPS と音楽の融合は 1つのアイデアに過ぎません しかし これは現在のデジタル時代において 音楽業界が直面している課題に 1つのビジョンを提示するものです このような新しいテクノロジーを これまでのモデルを付け焼き刃的に 変えるためのものではなく 音楽を体験する まったく新しい方法を 実現するために活用できればと思います


ありがとうございました


(拍手)


デジタル化が進む現在、音楽業界は、自らの新しい姿を見出すべく奮闘しています。このプレゼンテーションでは、ライアン・ホラデイが「位置認識アルバム」と呼ばれる実験的なプロジェクトについて説明します。このプログラミングと音楽的な機能では、数百もの楽曲部分が地理的にタグ付けされ、リスナーがいる実際の場所でしか聴くことのできない音楽が構成されます。(TED@BCGで撮影) ( translated by Masaki Inoue , reviewed by Yuko Yoshida )

動画撮影日:2013/10/30(水) 0:00
TED