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深刻化する中国の人権問題

7/13(金) 0:42配信

TBS News i

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 中国の民主活動家でノーベル平和賞も受賞した劉暁波氏は、長い刑務所生活の末、1年前に病死しました。そして、妻の劉霞さんも当局の監視のもと、およそ8年にわたって自宅で軟禁状態に置かれていましたが、今月10日、受け入れ先のドイツに到着しました。

 ひとまず自由を手にした劉霞さん。しかし、中国国内では習近平政権のもと、言論・思想を統制する動きがますます強まっています。

 「これが最後に会った時です。3年前になります」(王全璋さんの妻 李文足さん)

 2015年初夏、寝台列車の中で撮られた1枚の写真。李文足さんの夫・王全璋さんは、宗教弾圧などを扱う人権派弁護士として中国各地を飛び回っていました。その出張に2歳の息子とついて行ったのが、家族での最後の時間となりました。

 「この写真を見るたびにつらくなります。こうなると分かっていたら、別れる時、抱きしめていたのに」(王全璋さんの妻 李文足さん)

 3年前の7月9日に中国各地で人権派弁護士や活動家が一斉に身柄を拘束された、いわゆる「709の大拘束」。一時的なものも含めると300人以上が拘束され、およそ10人が“国家政権転覆の罪”などで有罪となりました。王全璋弁護士はただ一人、いまだに裁判さえ行われておらず、安否を心配する声が高まっています。

 「3年間、情報ゼロ。全く情報がないです。7人の弁護士を雇いましたが、ひとりも彼に会えていないです」(王全璋さんの妻 李文足さん)

 今年4月、李文足さんは、北京から夫が拘留されている天津までおよそ120キロを歩いて訴えていたところを当局に拘束されました。連れ戻された北京市内の自宅を訪ねると、支援者や警察、近隣住民が集まって騒然としていました。

 「こんなに取り囲まれていたら、出てこられないじゃない」(支援者)

 見上げると、ベランダに李さんの姿が見えました。自宅軟禁状態に置かれていたのです。その様子を取材しようと近寄った私たちの車は、たちまち住民たちに取り囲まれました。

 「日本人が中国で何をやっているんだ」

 実は、家を囲んでいた住民の多くが当局の手先となって、李さんが家から出ないよう見張っていたのです。

 「私の夫は一般市民を代弁する良い人間なのに、探しに行くのも許されないの?」

 「全面的な法律に基づいた統治は、中国の特色的な社会主義にとって欠かせないものだ」(習近平国家主席)

 法治国家の重要性をうたう習近平国家主席。しかし、最近では多くの人権派弁護士が一方的に弁護士資格を剥奪されるなど、異論を許さない空気は強まるばかりです。

 「3年たつのに、弁護士にも家族にも面会させない。最も基本的な権利のはずなのに、どこが法治国家だと言うんでしょう」(王全璋さんの妻 李文足さん)

 政府ににらまれ、社会からも冷たい目を向けられた彼女が頼れるのは、それでも支えてくれる仲間たち、そして、国際社会の目です。今年5月に中国を訪問したドイツのメルケル首相。李文足さんらとの面会を果たし、李克強首相からは「人権問題で対話する」という異例の発言を引き出しました。

 5歳になった息子の泉泉くん。優しい性格がお父さんにそっくりだといいます。

 「すごくパパに会いたい。僕のママは最後に会った日の写真を見るたびに、すごく悲しくなっちゃうんだ」(泉泉くん)

 李さんは、息子が父親のことを忘れないために、今も毎日のように話して聞かせています。

 「当局は3年間、あらゆる手段を使って抑圧してきましたが、私たちはまだ屈服していません」(王全璋さんの妻 李文足さん)
(12日23:26)

最終更新:7/13(金) 10:02
TBS系(JNN)